8.西浜ステーション

 『全図』で、せっかく西浜方面に向かったので、「エビス湯」の東側の通りから、南下して、「停車場位置」の方へ進んでみたい。この南へ向かう道は今でもあるが、『全図』のようには、屈曲していない。その道が、「真行寺」の南の水路と交差する点までは、現在も大体、確認可能である。しかし、『全図』で、そこから南西方面へ伸びる一本の道は、今はなく、県立盲学校の敷地内に取り込まれている。県立盲学校の東の細い道を抜けて、昭和町の市立図書館前の通りに出る。実は、その通りが、『全図』の中の「鉄道予定線」の位置である。要するに、現在の市立図書館前の通りは、明治期の鉄道跡を利用したものだったのである。

停車場は、西浜ステーションと呼ばれており(『高松今昔記3』)、現在の県立盲学校の敷地内に、駅はあったという。因みに、盲学校の西にあるタバコ屋さん宅が、道路拡幅で一部買収されて工事がおこなわれたときには、土中からレンガを積み固めたものが出てきて、掘削に大変手間取ったらしく、その時、そこが、旧西浜ステーションのプラットホームであったことが判明したという。

今は山中、 今は浜、

今は鉄橋 渡るぞと

思う間もなく、 トンネルの

闇を通って 広野原

遠くに見える 村の屋根

近くに見える 町の軒

森や林や 田や畑

後へ後へと 飛んで行く。

          [明治44年発行 尋常小学唱歌(三)「汽車」(『日本唱歌集』岩波文庫より)]


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