円筒形に近い体形が特徴のボラは、冬になると眼にまぶたができます。寒さから身を守るため、体内の脂肪が増えて、眼までおおわます。
ボラは成長するにつれて名前が変わる出世魚。県内では普通、小をイナ、大をボラと呼びます。ボラより大きくなると、「トドのつまり」のトドとなりますが、外海に出てしまい、県内で呼ばれることはありません。
昔は、寄魚(よりうお)漁といって、冬にボラが特定の内湾などに集まって来るのを静かに待ち、網で囲って一網打尽にとったそうです。寒ボラと呼ばれるおいしいボラをとっていたわけです。しかし、動力船が増えて海が騒がしくなり、ボラが集まらなくなって寄魚漁は消えてしまいました。代わりに他の漁法で冬以外にもとるようになり、旬もわかりにくくなりました。
泥臭みを心配する向きもありますが、鮮度、下ごしらえに注意すれば、刺身、あらい、煮付け、味噌汁などおいしくいただけます。引田では、寄魚漁の時代の風習であるボラ飯が今も漁家のごちそうです。
ボラ類では「メナダ」も多くとれ、唇が赤みをおびていることからシュクチ、シクチ、または眼が赤いことからメアカなどと呼ばれます。メナダの旬は夏といわれ、あらいが美味です。 |