調査研究・刊行物

調査研究ノート

【備讃瀬戸あれこれ】 第6回 「魚島の鯛」

「毛吹草(けふきぐさ)」という江戸時代の書物に、諸国の名物が綴られています。

讃岐国には8つの特産品が上げられており、そのうちの1つに「魚島鯛」があります。

「ウオジマノタイ」とはなんなのでしょうか。

鯛は種類が多く、また地域によって呼び名が異なる場合もありますが、このような名は耳にしません。

すると、魚島という島の近辺で獲られたか、その島に水揚げされた鯛を指すのかと思われます。しかし讃岐にはこのような名称の島はありません。

近隣で探すと、讃岐国の西隣、伊予国(現在の愛媛県)にあります。

燧灘に浮かぶ島で、この名称の由来は、付近が鯛を中心にした好魚場であることによるとされています。

江戸時代には今治藩に属し、漁期には「鯛奉行」が島に滞在し、将軍家への献上品である干し鯛や塩辛の製造を監視した歴史があります(『角川地名大辞典38愛媛県』)。

このことからすると、伊予国の魚島が間違って讃岐国とされたとも考えられますが、「魚島」は別の意味合いで使われることもあります。

「魚島時(うおじまどき)」という言葉があります。

『広辞苑』には「瀬戸内海で鯛が多くとれ、大阪で安く旨い鯛が食べられる陰暦の3月から4月にかけての時期」と説明されています。

このような言葉が生まれるほど、瀬戸内海では春に鯛が多く獲れていたのです。
  (当館館長 大山真充)

photo1かって鯛の好漁場だった
瀬戸大橋の東海域
photo1大型フェリーと漁船(手前)
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