調査研究・刊行物

調査研究ノート

【備讃瀬戸あれこれ】 第4回 「タイが浮く」

首尾よく捕れたのか10分も経たないうちにエンジン音が高くなり、千当丸はいつもの走りに戻っていきました。

この話を翌日、島のおばちゃんたちにすると、大きなニベ(鮸)なども浮いているが、鯛の方が結構な値段で引き取ってもらえるため、大物を見つけると拾うのだと教えてくれました。

ニベは別にイシモチやグチとも呼ばれます。それなりにおいしい魚ですが、鯛には叶わないというところでしょうか。

魚がなぜ自然に浮くのかというと、真鯛だと海水温が7~8℃以下だと低温麻痺し、浮袋が腫れ浮き上がってくるとされています。

その冬はとても寒く、この付近の水温もかなり下がっていたのでしょう。死んではおらず仮死状態なので高値がつくわけです。

浮袋は釣りや網などで急激に海底から引き上げられた場合にも水圧の関係で膨れます。

漁では長生きさせるために袋を破る道具があります。「タイバリ」といいます。

写真は当館(瀬戸内海歴史民俗資料館)に展示している、タイ縛網漁で使用していたものです。長さ30cm弱、太さ0.5~1cmの細い竹で、先端を斜めに切り鋭くしています。

これを尻の穴から遠慮なく挿し込み、腹の中でパンパンになった白い袋にブチィと刺し空気を抜くのです。
                        (当館館長 大山真充)

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鯛(めす)
(「衆鱗図」(高松松平家歴史資料
・香川県立ミュージアム保管)より)
    
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ニベ
(「衆鱗図」(高松松平家歴史資料
・香川県立ミュージアム保管)より)
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タイバリ
(国重要有形民俗文化財・当館蔵)
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