公共交通機関の利便性向上に関する調査研究について

平成13年3月
公共交通機関の利便性向上に関する調査研究プロジェクトチーム

はじめに
県内の公共交通機関の現況
県内の交通特性と公共交通機関の課題
公共交通機関の利便性向上に向けての課題
公共交通機関の利便性向上に向けての基本的考え方
施策の立案に向けた検討内容
施策提言
おわりに

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はじめに

 鉄道、バスなどの公共交通機関は、地域住民の日常生活を支えるとともに、豊かな地域社会を形成する重要な基盤であるが、近年、マイカーなどのモータリゼーションの急速な普及、山間部や離島での地域住民の減少傾向などにより、利用者は減少の一途をたどり、公共交通機関によっては、路線や航路の維持そのものが困難な事態が顕在化している。
 しかしながら、公共交通機関は、大量輸送が可能であり、環境にやさしい乗り物であることから、マイカーから公共交通機関へのモーダルシフトは、地球環境への負荷の軽減、省エネルギーの促進、都市の交通渋滞の緩和、交通事故の抑制、高齢者、障害者等の移動手段の確保など、様々な社会問題を解決する上から大きな効果をもたらす。
 このため、公共交通機関の利便性を向上するとともに住民意識の転換を促すことなどにより、公共交通機関の利用促進を図ることが重要であるとの認識に立って、調査研究を行うこととしたものである。

1 県内の公共交通機関の現況

 (1) 公共交通機関の輸送人員の推移

 県内の主な公共交通機関として、鉄道は四国旅客鉄道(株)と高松琴平電気鉄道(株)の2事業者が、乗合バスはコトデンバス(株)外8事業者が営業している。
 これらの事業者における輸送人員の推移をみると、四国旅客鉄道(株)は、平成11年度における四国内全路線の輸送人員が5,739万人で、昭和63年度の瀬戸大橋開通後、徐々に増加していたが、長引く景気の低迷や高速自動車道路の延伸の影響等もあり、ここ数年は漸減が続いており、ピーク時(昭和40年度)の輸送人員11,369万人の50.5%となっている。
 次に、高松琴平電気鉄道(株)の平成11年度における輸送人員は1,511万人で、ピーク時(昭和49年度)には2,655万人であったものが、その後、年々減少し、ピーク時比56.9%になっている。
 乗合バス事業者の平成11年度における輸送人員は609万人で、ピーク時(昭和44年度)の輸送人員5,803万人との比較では10.2%となり、大幅に減少している。
 これらの生活交通を担う公共交通機関の利用者数が減少を続けている要因としては、マイカー、バイクの普及などによるモータリーゼーションの進展や都市部における交通渋滞によるバス運行時刻の定時性の低下、山間地等の過疎化の進展などがあげられている。

[図1 県内の公共交通機関の輸送人員の推移]

ア 四国旅客鉄道(株)

 本県に関係する四国旅客鉄道(株)の路線は4路線で、高松市から松山市方面への予讃線(327.3km)、高知市方面への土讃線(198.7km)、徳島市方面への高徳線(74.8km)、本州に連絡する本四備讃線(18.1km)がある。
 四国旅客鉄道(株)の輸送人員は、瀬戸大橋開通後徐々に増加していたが、最近は漸減傾向を示している。
 平成11年度の路線別年間輸送人員は、予讃線が34,945千人、土讃線が11,075千人、高徳線が7,915千人、本四備讃線が9,002千人で、全路線ともここ数年減少傾向にある。特に平成4年には、全路線とも前年度まで増加傾向にあった輸送人員が高徳線を除いて減少したことから、全体として前年比約3%の減となった。これは高知〜岡山線と高知〜高松線を運行する都市間高速バスの開設による影響と思われる。
 平成11年度における定期と定期外との利用内訳の状況をみると、定期の占める割合は、予讃線が49.4%、土讃線が60.9%、高徳線が62.6%、本四備讃線が18.7%となっている。

[図2 四国旅客鉄道線の輸送実績の推移(資料:四国運輸局)

イ 高松琴平電気鉄道(株)

 高松琴平電気鉄道(株)の路線は3路線で、高松市と琴平町を結ぶ琴平線(32.9km)、高松市と志度町を結ぶ志度線(12.5km)、高松市と長尾町を結ぶ長尾線(14.6km)である。
 なお、平成11年度における年間輸送人員は、3路線合わせて15,111千人となっている。
 また、路線別年間輸送人員は、琴平線が8,169千人、志度線が2,909千人、長尾線が4,033千人となっている。琴平線は、平成3年度にレオマワールドの開園等により5.6%増となったものの、その後減少に転じている。志度線は、平成6年度に大幅な落ち込みがあったが、その後は、横ばい傾向で推移している。長尾線は、平成4年度に落ち込みがあり、その後は、横ばいないし微増傾向を示している。
 平成11年度における定期と定期外の利用内訳の状況をみると、定期の占める割合は、琴平線が57.6%、志度線が52.8%、長尾線が61.2%となっており、近年、定期の占める割合はいずれも横ばい傾向にある。

[図3 高松琴平電気鉄道の輸送実績の推移(資料:四国運輸局)

ウ 乗合バス

 県内の乗合バス事業者としては、都市間及び長距離の高速バスを運行する事業者1社を含めて9事業者が営業を行っている。生活交通としての路線網は、県内の国道、県道等を基盤に高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市を中心としてその周辺を結ぶ路線や東讃地区の大内から引田を結ぶ路線があり、ほぼ県下の全域を網羅している。
 県内の路線を運行している主な乗合バス事業者としては、コトデンバス(株)、琴平参宮電鉄(株)、大川自動車(株)、小豆島バス(株)の4事業者があげられる。
 コトデンバス(株)は、高松築港、琴電瓦町駅を中心に高松市内と周辺町を放射線状に結ぶ路線を運行している。
 琴平参宮電鉄(株)は、高松、丸亀、坂出、琴平の各営業所から主に中讃地域へ伸びる路線と詫間営業所から詫間町内の路線を、また、丸亀市内では、3ルートの循環路線で丸亀コミュニティバスを運行している。
 大川自動車(株)は、高松築港、長尾町の本社と三本松から主に東讃地域へ伸びる路線を運行している。
 小豆島バス(株)は、土庄港フェリーターミナル前、草壁港から小豆島島内全域への路線を運行している。
 高速道路等を利用した高速バスについては、四国内都市間路線として高松市から徳島市、高松市から高知市、高松市から松山市へ、四国島外への長距離路線として高松から東京、横浜、名古屋、大阪、神戸方面への運行がなされている。
 本県の県民一人当たりバス利用回数は、年々減少しつつあり、平成6年度に9.9回/年と10回/年を下回り、平成11年度が5.8回/年となっており、四国4県のうちで最も少ない。(図−4)
 なお、県内におけるバス優先通行対策としては、県庁所在地である高松市内で、バス優先レーン(7区間 約9,220m)が設置されている。このうち、国道11号、国道30号のバス優先レーンにおいては、平成11年度から四国地方建設局香川工事事務所が「バス路線フレッシュアップ事業」を活用して、赤茶色のカラー舗装を行っている。(表−1)

[図4 県民一人当たりバス利用回数]

[表1 路線バス等優先通行帯]

番号 区間 路線名 対象車両 時間 施行日
 室新町1,044番地先室新町交差点から寿町1丁目3番1号先穴吹寿町パーキング東側までの西側第1通行帯(3,050m) 国道11号
国道30号
路線バス、通学通園バス、通勤送迎バス 7:30〜
8:30
(上り)
(49.12.20)
(51.2.15)
(52.7.1)
11.2.23是正
 紫雲町7番1号先JR四国高徳線宮脇跨道橋東側から天神前10番7号先中新町交差点までの間の北側第1通行帯(1,350m) 県道高松
丸亀線
(49.12.20)
51.2.15是正
 花園町1丁目15番7号先松本武市方北側から観光通1丁目8番先観光通1丁目交差点までの間の南側第1通行帯(880m) 県道牟礼
中新線
(51.2.15)
5.3.3是正
 中新町2番1号先高橋石油中新町給油所南側から常磐町2丁目13番5号先南海第1ビル南側までの間の北側第1通行帯(380m):県道牟礼中新線 51.2.15
 寿町1丁目5番10号先グランドホテル駐車場西側から亀井町6番地1先中央公園南交差点までの間の東側第1通行帯(1,250m) 国道11号
国道30号
17:00〜
18:00
(下り)
(57.2.24)
11.2.23是正
 中新町11番25号先中新町交差点南東角から室新町1,012番地2先室新町交差点までの間の東側第1通行帯(1,450m) 国道11号 58.2.23
 観光通1丁目4番6号先関西自動車(株)前から多賀町2丁目19番11号先中国銀行高松東支店前までの間の北側第1通行帯(860m) 県道牟礼
中新線
59.2.1

エ 自動車数・運転免許保有者数の推移

 県内の自動車数の推移をみると、自動車台数は、年々増加しつつあり、平成11年末が711,872台となっている。原動機付第1・2種自転車台数は、昭和60年まで増加していたが、その後は漸減傾向にあり、平成11年末が136,600台となっている。
 運転免許保有者数については、年々増加しており、平成11年末が641,989人で、県民(平成11年10月1日現在人口:1,030,388人)の62.3%が免許を保有していることとなる。
 公共交通機関の利用者の減少は、自動車などの普及と運転免許保有者数の増加と相関関係にあると考えられる。

[図5 自動車数・運転免許保有者数の推移]

2 県内の交通特性と公共交通機関の課題

(1)  本県においては、近年の自動車保有台数の着実な伸びに加え、瀬戸大橋の開通や四国横断自動車道の整備の進捗に伴い、道路交通量が大幅に増大し、主要幹線道路に交通渋滞が発生している。
 また、交通事故が増加し、人口当たりの交通事故死者数は、昭和62年以降、常に全国ワースト10位内という状況にある。
(2)  本県においては、道路整備率が高く、マイカー、バイク等による交通が著しく発達してきたのに対し、公共交通機関の対応が遅れたことから、公共交通機関の利用者が減少してきている。
(3)  都市部においては、交通渋滞に起因する定時性の低下等から公共交通機関(特にバス)の利用が減少している。
(4)  山間部等における過疎化の進展等による公共交通機関の利用者の減少が、バスの便数減少や路線の休・廃止をもたらし、さらにバス離れが進むという悪循環を招いている。
(5)  マイカー、セカンドカーが増加しつつあるが、地球温暖化防止等環境保全を図っていくためには、マイカーから公共交通機関へのモーダルシフトが求められている。
(6)  高齢社会への対応としての「ゆとり」と「人にやさしい」公共交通機関の整備が求められている。
(7)  本県の公共交通機関を担っているのは、ほとんどが民間事業者であり、経営上の制約等から、利用者ニーズを充足しているとは言い難い。

3 公共交通機関の利便性向上に向けての課題

(1) 利用属性の特徴
  • 学生、市街地への通勤者が多い。
  • 高齢者・障害者・子どもなど自ら自動車での運転による移動ができない移動制約者の利用。
広範な利用者
への対応
(2) 利用時間帯
  • 朝7時台、夕5時台が多く、ピーク性向が非常に高い。
ピーク時の対応
(3) 移動距離
  • 同一市町内の短距離移動、他の市町にまたがる長距離移動など距離によって、利用する公共交通機関が変わってくる。
移動距離による
対応
(4) 自動車交通からの転換の可能性
  • 自動車利便性が高く、転換は困難な部分もみられる。
  • 公共交通機関の運行頻度増や自動車より大幅な到達時間の短縮などで、自動車より、利便性・快適性を高める必要がある。
公共交通機関への
転換に向けた対応

4 公共交通機関の利便性向上に向けての基本的考え方

 公共交通機関利用者の減少要因等を踏まえ、公共交通機関の利便性向上に向けての今後の課題を整理すると以下のとおりである。

 (1) 広範な利用者への対応

 鉄道(四国旅客鉄道(株)、高松琴平電気鉄道(株))利用者の大半は、通勤・通学時におけるサラリーマン、OL、学生等であることから、ピーク時のこれらの利用者にとって、利用しやすいものとすることが最も重要である。また、バス利用者には、通勤・通学の利用者に加えて、高齢者、障害者、主婦、子ども等も含まれていることから、今後の高齢化のなお一層の進展とともに、バスは、日常生活に密着した輸送手段としての役割が大きくなるものと考えられ、高齢者、障害者、子ども等移動制約者の利用にも配慮しながら、住居・目的地との近接性、車両乗降時の簡便性、乗車中の快適性の向上等を図る必要がある。

 (2) ピーク時の対応

 公共交通機関の利用については、ピーク性向が、非常に高いことから、朝・夕の通勤・通学等ピーク時の輸送効率の改善、定時性の確保等、利用者サービスの向上が必要である。

 (3) 移動距離による対応

 公共交通機関別に利用者の移動の状況をみると、四国旅客鉄道(株)が主として市町間の比較的中・長距離移動、高松琴平電気鉄道(株)が高松市周辺内での中距離移動、バスが比較的短距離移動となっており、主たる利用者の移動距離の相違により、各公共交通機関の利便性向上に係る施策も異なってくると考えられる。
 中・長距離移動については、鉄道とマイカーやバスとの乗り継ぎ円滑化の対策を主に、また、比較的短距離の移動については、バス路線ルートと乗降場所のきめ細やかで適切な配置等の対策を講じていく必要がある。

 (4) 公共交通機関への転換に向けた対応

 マイカー通勤をやめない理由として、マイカー通勤が公共交通機関による通勤に比べて時間の制約、移動の自由などの面で利便性が高いことが挙げられる。
 マイカーから公共交通機関へのモーダルシフトについては、県民のライフスタイルや環境問題に対する認識の深化等基本的な部分での転換が必要であるが、公共交通機関においても目的地までの所要時間の短縮や運行本数の増大、快適性の向上等利用を促す対応を講じていく必要がある。

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