事業評価システムについて

平成13年3月
行政評価システムの調査研究プロジェクトチーム

経緯
「事業評価システム」とした理由
事業評価システムの基本的な仕組み
評価調書の作成と事故評価の重要性
評価の観点
自己評価の点数づけ
自己評価に対する評価
評価事務の体制
評価調書
10 自己評価の限界と評価委員会の設置
11 評価調書及び作成事業の範囲
12 評価調書の公開
13 評価システムの見直し
14 システム全体のイメージ図
15 評価システムと新世紀基本構想の事業計画

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1 経緯

9. 11

 財政構造改革指針を策定、事業評価システム開発の方針を決定
 政策企画会議において、調査研究項目とする
10.

 行政評価システム検討会(財政、人事、企画)による検討作業の開始

 財政課内に担当職員を配置

 事業評価調書作成のための試行を実施
11

 試行を踏まえて調書を作成し平成11年度当初予算編成において試験的に導入
11. 11

 改良した調書によって平成12年度当初予算編成において再度試験的に実施
12.

 平成11年度決算を踏まえた執行評価調書の作成を試行
11

 平成13年度当初予算編成に際し、新規事業の調書作成を試行
 試行の一環として、執行評価調書の閲覧を実施
13.

 平成13年度実施の運用方針を決定

 公債費の増嵩が将来の県政運営に多大な制約をもたらすとの懸念のもと、平成9年11月、平成10年度の当初予算編成方針とともに「財政構造改革指針」が策定された。この中に、施策の重点化指針や新規の箱物整備の凍結とともに、可能な限り客観的に事務事業の評価を行う「事業評価システム」の導入が盛り込まれた。これが今回の研究のはじまりである。
 このシステム構築に向けた平成11年度までの研究内容は、すでに平成12年の「政策研究レポート'00」に掲載したところであるので、今回は、平成12年度の試行を踏まえた検討事項、課題などを中心に、13年度から実施する事業評価システムを紹介することとする。

2 「事業評価システム」とした理由

 行政評価は、さまざまに定義されている。新自治用語辞典では、総務省の見解を示し、「政策、施策、事務事業について、事前、事中、事後を問わず、一定の基準、指標をもって、妥当性、達成度や成果を判定するもの」としている。
 導入する考え方により、各自治体ごとの評価内容も異なっており、先進県である三重県は「事務事業評価システム」を、静岡県は「業務棚卸法」をそれぞれ独自に実施している。国では、「政策評価」を導入している。このように、行政活動の結果を評価するという「行政評価」は、目的によって、団体ごとに手法も名称も変わるものである。
 さて、本県では、なぜ「事業評価システム」としたかである。もともと本県がシステム構築の検討をはじめた理由は、行財政改革の一環として、事務事業の見直しを推進するためである。そして予算編成時における事務事業の見直しをいかに進めるか、という観点から検討を始めたのである。
 従って、導入目的は政策の説明責任を果たすというものでなく、限られた財源の中で社会経済情勢の変化に応じた必要な施策への転換等を図るため、事務事業を評価し、その結果を、予算編成時等における事務事業の見直しに活用しようということを第一の目的としていたことから、名称を「事務事業評価」としたのである。
 その後、研究を進めるうちに、職員の意識改革があってはじめて実効が上がるということ、また、できるだけ客観的に評価するには、数値を使う必要があり、この数値目標として、ちょうど策定中であった新総合計画の指標と関連づけられると考えた。
 新世紀基本構想では、52の指標を設定したが、これだけでは指標が少ないため、事業計画で指標を追加した。しかし、指標は、アウトプット指標やインプット指標が多くなっている。指標については、今後、さらに検討を要するが、これにより、何とか計画の進行管理にも利用できるようになったと考えている。
 本県では、「事業評価システム」と称しつつ、総合計画の施策体系と関連づけたものとなっていることから、事務事業の見直しだけでなく、施策の評価と執行の説明責任を果たす資料としても使えるものとなっている。
 このシステムの目的と仕組みをイメージ化したものが、図1である。

(参考)

評価とは(学者の見解)

評価システムのあり方

3 事業評価システムの基本的な仕組み

 評価は事業実施の目的を明確にすることから始まるとの認識に立ち、評価システムの構築に当たっては、目的の体系化が図られている総合計画の「施策体系」を活用しようと考えた。これにより、事業を体系化した目的に分類したうえで、施策を構成する各個別事業については事業評価調書を、また、同一目的の事業の集合体は施策とみなし施策評価調書を作成することとした。

 施策や事務事業は、上位の施策目的に対し、どういう位置づけのものか、を常に意識し、次の二段階の評価で成果の測定を行っていくものとした。

事業評価

 施策を構成する個別の事務事業に対して評価する。

施策評価
(同一目的事務事業総体評価)

 施策目標に対する各事業の展開を総体的に評価する。

 事業計画に掲げる事業の施策・事業評価の段階は、次のようにイメージしている。

4 評価調書の作成と自己評価の重要性

 県行政は、限られた財源や人的資源を活用して、さまざまな課題や県民ニーズに応えていかなければならない。このため、県として対応していかなければならない問題は何か、県民が求めているものは何か、目先の問題だけでなく将来を見据えた課題への対応は十分なのかなどの検討を行った後、基本方針を明らかにし、施策や事業の実施が行われるべきである。
 政策課題や問題の発見自体は日常業務のなかにある身近な現象的な問題を見つけ出すことである。企画部は自治体としての大きく重要な問題を捜し求めることはできても、こうした日常業務の中から必要とされる課題は見つけ出せない。むしろ事業担当課、そしてその部門の職員が問題発見の中核になるはずである。
 こういう認識のもと、事業評価システムは、こうした職員の役割に着目し、評価調書の記入を担当課の職員自らが行うこととしている。そのこと自体は、職員の問題発見能力を身につけさせる方策ともなり、また、管理職が施策全般から事業執行のあり方を考えるうえでも意義あるものと考えている。
 しかし、逆に職員にその意識がなければ、評価することの効果はほとんどなく、作業に時間を費やすだけとなってしまうことにもなりかねない。このシステムでは、誰のために、何のために行うのか、事業の目的を明確にし、課題を十分考える意識を持つことが、まさに職員に求められている。
 平成13年度は、本格的な実施に伴い、研修や説明会の場を多く設定するようにしている。

5 評価の観点

 (執行評価の場合)

 地方自治法の第二条に、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」とされている。この効果の評価に際して、数値による指標がないと客観的な評価は難しいし、また適切な指標でないと、適切な評価もできないことになる。このため、評価では指標を重視している。しかし、そうはいっても、自己評価は主観的にならざるを得ないものとその限界を認め指標以外の評価項目を設定し、事業評価、施策評価それぞれに記述方式で記載することとした。評価の視点は次のように整理している。

 (1) 事業評価の場合(予算事業ごとの評価)

 最小の経費で最大の効果を挙げるということは、単に費用と金額的に換算した成果を比較するということではない。事業は何の目的のために実施するものなのかが明確でないと比較できないし、まずは、その目的が妥当かという検証も必要である。
 ここでは、その目的に対する妥当性や、県が主体となってどの程度行うのか、急ぐのか急がないのか、実施の効率性はどうかを、事後評価し、事業を再点検するものである。

ア 目的の妥当性(明確化)

(基準)目的が明確にされ、管理職と担当職員との意思疎通が図られている。
    指標が適切に設定されている。

イ 行政関与性

(基準)県の役割、国、市町、県民の役割が明確に整理され、その役割の中で費用負担を考慮している。

ウ 緊急性

(基準)事業実施による効果が表れている。タイムリーな事業である。
    事業の完成時期、完了時期など時間的な管理ができている。

エ 効率性

(基準)外部委託が可能なものが適切に実施されている。
    経費削減が図られている。

 (2) 施策評価の場合(同一目的事務事業総体の評価)

 事業の総体である施策は、その政策目的の実現に対し、どれだけ貢献しているか、実施する事業はすべて妥当性を有しているか、目標の実現に向けて効率的なものになっているか、県民が満足している施策か、といった観点で評価するものである。

ア 有効性(施策目的への貢献度)

(基準)目的、目標数値が適切に認識できている。
    指標によって、目標に対する成果があがっていることが確認できる。

イ 妥当性

(基準)事業がすべて効果的に働いている。
    成果指標に対し、有効な事業となっている。
    他部局に類似事業等があることを知っている。

ウ 効率性(費用対効果(効率性、経済性))

(基準)施策全体のコストと効果が相関関係にある。
    (コストが低下傾向にあって、成果は上昇傾向にある。)

エ 必要性(県民満足度)

(基準)事業の実施や継続に対して要望がある。

 (事前評価の場合)

 事業を計画したり、実施するに当たっては、執行評価と同様の4つの視点で評価し、判断を行うものとしている。
 なお、政策形成を図っていくうえで、事前の評価を行えば、意思決定しやすく、調書の作成に当たっても、この観点を踏まえて検討してもらいたいと考えている。

 (1) 目標達成への有効度

 目標レベルの向上に各代替施策案はどの程度役に立つかを考えること。

 (2) コスト

 実現に必要な費用を比較するには、損得計算(最小費用で最大効果)を行うこと。
 その際、費用には相対的なものと絶対的なものがある。
 相対費用:費用を下げるか、利益をあげる
 絶対費用:金額そのもの

 (3) 実現可能性

 技術的、文化的、法令面で、実現する際の難易度を比較すること。

 (4) 時間

 要求する時間内に実現できるものであるのか。時間の長さを考慮すること。

 (5) マイナスの副作用

 実施することによって、他の面に悪影響がないかどうか考えること。

 ここで課題の優先順位づけについて考えてみたい。
 限られた資源(人、財源)を使って多くの行政課題を解決するには、その順位づけを考えておく必要がある。個人の場合は、その人自身が判断すればすむように、課内での優先づけは所属長が行えば決定できる。しかし、対象も効果も異なる部ごとの施策を判断するのは誰かということになる。最終は知事であることに違いないが、その判断に至る過程で、その材料の取りまとめの仕方によって、左右されることもある。それをどの部署が担うかが重要である。これが知事の姿勢と大きく関わってくるからである。そのあり方を議論するつもりはないが、基本的なこととして言えることは、課題をきちんと整理することである。
 少なくとも、重要度と実行難易度の二つの軸を使って、次の図のように課題は4つに分けられるはずである。この整理した範囲の中から、優先づけを行えばよいと考える。

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