第2章
交通安全対策の現状と問題点

交通安全組織の現状と問題点
交通安全意識啓発活動の現状と問題点
交通安全教育の現状と問題点
(1)
(2)
(3)
(4)
交通安全教育体系の確立
学校等における交通安全教育
成人(高齢者を除く)に対する交通安全教育の現状と問題点
高齢者に対する交通安全教育の現状と問題点
道路交通環境整備の現状と問題点
道路交通秩序維持の現状と問題点
高速道路における交通安全対策の現状と問題点

indexへ

3 交通安全教育の現状と問題点

 (1) 交通安全教育体系の確立

ア 現 状

 交通安全教育は、警察、県、市町、教育機関、交通安全協会等の団体が幼児、児童・生徒、運転者、高齢者等様々な者を対象とし、学校教育、運転免許取得時及び運転免許証更新時、地域での集会、家庭訪問等の機会を利用して幅広く実施している。
 また、平成9年の道路交通法の改正に基づき、市町、民間の交通安全教育指導者等が効果的かつ適切に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、国家公安委員会は、交通安全教育に関する指針(以下「交通安全教育指針」という。)を作成して公表しており、これを活用した交通安全教育の方向づけを行っている。(平成10年9月22日、国家公安委員会告示第15号)。

イ 問題点

交通安全教育の実施内容や進め方は、実施する機関・団体の連携強化を図り、年齢別又は道路利用の態様別に体系化された教育を行う必要がある。
交通安全教育指針は、交通安全教育を効果的かつ適切に行うための手引きとなるものであり、その活用により、道路を通行する者が、交通安全教育に係る学習の機会を通じて、適正な交通の方法等を自主的に習得する意欲を高めるとともに、交通安全教育の段階的かつ体系的な実施を図ることを目的とするもので、今後、関係機関・団体が連携して、交通安全教育指針に基づく交通安全教育を積極的に推進していく必要がある。

 (2) 学校等における交通安全教育

ア 現 状

(ア) 幼稚園児等に対する教育
 保育所、幼稚園においては、幼児の発育段階に応じ、「交通安全に関する知識の習得」、「情緒の安定」、「運動能力の向上」、「基本的生活習慣の確立」を目指し、日常の保育活動を通じ、保護者も含めた交通安全教育を実施している。
(イ) 児童生徒に対する教育
小・中・高校生に対する交通安全教育は、「自他の生命の尊重」を基本理念に
・小学校は、体育科の保健領域
・中学校は、保健体育の保健分野
・高等学校は、科目保健
及び特別活動等の中で、それぞれ「道路の通行方法」、「交通事故防止と安全な生活」等について、安全教育を実施している。
 また、通学路の設定と点検を行い、通学方法や通学の安全基準の策定、自転車の安全基準の策定、自転車の安全点検等を行い登下校時の安全を図っている。
教育委員会においては、交通安全教育指導者研修会等を開催し、指導者の資質の向上を図るとともに、文部省の「二輪車研究指定校」の指定(高等学校を対象)、日本体育・学校健康センターの「学校安全に関する研究校」の指定(幼稚園、小・中学校を対象)、県教委の「学校保健安全」の指定を行うなどして、交通安全等に関する研究を委託し、その成果を県下の学校に普及している。
 また、各学校の交通安全に対する取組み意欲の高揚を図るため、毎年、「交通安全教育優良学校」等を選考し、顕彰している。
交通安全母の会においては、児童生徒の交通安全教育には、学校、家庭、地域社会の連携が必要であることから、交通少年団の母親等による連絡協議会を結成し、「母と子の自転車教室」の開催等の自主活動を促進するとともに、学校と家庭との連携を図り、一貫した交通安全教育を促進している。

イ 問題点

交通安全教育に関する学校間の取組みに対する格差(特に中学校、高等学校)があるように見受けられる点もあることから、各学校における「交通安全指導計画」の中に、交通安全教育の時間の十分な確保を促すなど、各年に応じた体系的な交通安全教育を計画的に実施する必要がある。
学校で指導したことと現実の交通社会との間に矛盾(保護者の交通安全に対する意識、指導・行動との間に差異がある)が生じることがあり、学校と家庭、地域社会との緊密な連携を図る必要がある。
高校生にあっては、二輪車による交通事故が多発している現状に鑑み、交通ルールの徹底、交通マナーの向上を基盤に、二輪車の実技指導を導入するなど、教育内容を見直す必要がある。

 (3) 成人(高齢者を除く)に対する交通安全教育の現状と問題点

ア 現 状

(ア) 運転免許取得時教育
指定自動車教習所による教育
 成人に対する交通安全教育のうち、免許取得時の教育は事実上その大部分が自動車教習所に委ねられている。そのため公安委員会では、自動車教習所の管理者及び教習指導員に対する講習や研修を通じ、資質の向上を図るともに教習施設及び資器材の整備等について指導を行っている。
その他の取得時教育
 普通免許、大型二輪免許又は普通二輪免許を受けようとする者は、普通車講習、大型二輪車講習又は普通二輪車講習のほか、応急救護措置講習の受講が義務付けられている。また、原付免許を受けようとする者に対しては、原付の運転に関する実技訓練等を内容とする原付講習が義務づけられている。
(イ) 運転免許取得者に対する再教育
公安委員会
更新時講習
 運転免許証の更新を受けようとする者を対象に優良講習、一般講習を実施している。
初心運転者講習
 初心運転期間中にその免許にかかる自動車等の運転に関し、政令で定める基準に該当する者を対象に講習を実施している。
処分者講習
 短期講習(40日未満の停止処分者対象)、中期講習(90日未満の停止処分者対象)、長期講習(180日未満の停止処分者対象)を実施している。
取消処分者講習
 運転免許の取消処分又は免許の拒否を受けた者を対象に実施している。
違反者講習
 3点以下の軽微な違反で累積点数が6点に達した者を対象に実施している。
他機関関係
指定自動車教習所、日本自動車連盟(JAF)
 初心ドライバー、女性ドライバー等に対し、実践的な運転者教育を実施している。
 また、多数の指定自動車学校においては、「一日開放行事」により、運転実技講習や各種イベントを行い、参加者に対し安全意識の高揚を促している。
香川県二輪車安全運転推進委員会、香川県二輪車安全普及協会
 市町、学校等の要請に基づき、交通安全教育指導者を派遣するなどして、二輪運転者の教育及び支援を実施している。
(ウ) 事業所における運転者教育
 一定台数以上の自動車を使用する事業所等においては、安全運転管理者及び副安全運転管理者を選任することとされており、香川県では平成10年度末現在3,160事業所で安全運転管理者3,160名、副安全運転管理者597名が専任されている。
 安全運転管理者等は、事業所の適正な安全運転管理を推進するほか、業務用運転者に対する交通安全教育が、自動車の安全運転を確保する上で大きな役割を果たすため、平成9年の道路交通法の一部改正により、新たに安全運転管理者等の業務として交通安全教育指針に基づき、事業所従業員に対する交通安全教育の実施が義務づけられている。

イ 問題点

運転免許人口の増大に伴い、現状の運転免許施設(運転免許センター)が狭あい化している。また、講習効果を上げるために講習内容を座学中心の集合型教育から運転技能や適正診断を取り入れた参加・体験型講習に転換することなどが求められている。そのために講習施設、教育機材・機器の整備や講習体制の充実を図る必要がある。
一般運転者に対する再教育は、市町や関係機関・団体等が自動車教習所等と連携して、若者、女性、高齢者、ペーパドライバー、二輪車等が対象のドライビングスクール等を開催しているが、これらの講習は、開催回数、参加人員とも限られている。
 今後、指定自動車教習所を「地域の交通安全センター」として積極的に活用できる方法や、誰もが自由に利用できる体験型の交通安全学習施設の整備を図るなど、環境の整備を図る必要がある。
事業所間で交通安全教育等の取組みに格差がみられる。今後、事業所において交通安全教育等が適切に行われるよう、安全運転管理者等の指導能力の向上を図る必要がある。
 また、事業所等における交通安全教育が積極的に行われるよう、交通事故情報の提供、講師の派遣や教育教材の貸出しによる支援体制を強化する必要がある。

(4) 高齢者に対する交通安全教育の現状と問題点

ア 現 状

(ア) 高齢者等交通弱者(歩行者、自転車)の教育
県は、
高齢者交通指導員、交通安全推進指導員等の指導・育成
「高齢者自転車大会」を開催し、自転車の正しい利用に関する知識の醸成
市町に対する高齢者の夜間事故を防止するシルバーナイトスクール、シルバードライビングスクール等参加・体験型高齢者交通安全実践促進事業の委託
警察は、「交通安全教育隊」(平成11年4月1日、警察本部交通部に発足)による高齢者交通安全教育指導者の育成と高齢者に対する参加・体験型巡回学習教室開催の支援
県健康長寿財団は、長寿大学のカリキュラムに「交通安全事故防止講座」を設けているほか、県健康福祉祭などのイベントや機関紙などにおいて交通安全意識を啓発
市町、老人クラブ等は、交通安全教室の開催や「ヒヤリ地図づくり」を推進
交通安全母の会等は、「愛の一声運動」、「交通安全家族会議」、「高齢者世帯訪問事業」の推進
等、それぞれ取組んでいる。
(イ) 運転者の教育
平成9年の道路交通法の一部改正に伴い、運転免許証の有効期限満了日に年齢が75歳以上の者に対する公安委員会による運転適性検査器材の使用及び実車による指導を取り入れた「高齢者講習」の実施
運転免許センターにおける65歳から75歳未満の免許証更新者を対象とした運転適性検査器材等を活用した「シルバー学級」の開催

イ 問題点

交通安全教育の場に参加しない等、交通安全に対して無関心な者に対する教育の機会を設けることが難しいことから、このような方々に対する教育又は啓発の機会を設ける必要がある。
高齢者福祉活動として関係機関・団体が高齢者対策に取組んでいるが、これらの機会が交通安全教育及び啓発活動に生かされていない。他機関が実施する行事等を有効に活用し、あらゆる機会を通じて高齢者の交通安全意識の高揚を図る必要がある。

第2章TOPへ