
平成9年、食味の良い「さちのか」を母に、果実が大きい「とちおとめ」を父に交配を行い、食味の良い「三木2号」を育成しました。「さぬき姫」は、この「三木2号」を母に、早い時期に果実が実り冬期も安定した生産ができる「さがほのか」を父に、平成12年に交配を行い、育成したものです。(平成17年5月品種登録出願)

香川県農業試験場三木試験地でイチゴの品種育成に取り組む加藤主席研究員に、今回さぬき姫の育成中の出来事やさぬき姫への想いを聞きました。

いちごの育種は、母親になる花に父親の花粉を交配するところから始まります。交配がうまくいくと実が大きくなりますが、本当の果実は、表面に付いているぶつぶつで、この中に種子があります。これを、まいて育てた苗の中から良い株を選び、新しい品種を育成するのです。
ある日のこと、ハウスの中からピー、ピーと声がするので見に行くと、ヒヨドリが大切ないちごを食べているではありませんか。慌ててハウスにネットを張ってヒヨドリが入ってこないようにしました。ところが、安心したのもつかの間、またまた招かざる客人がやって来ました。今度は姿はなく、噛み付いたような感じで食べられています。
いちごはただ甘いだけではおいしいとはいえません。甘みや酸味、食感など、いろんなものがバランスよく組み合わさって本当のおいしさが生まれます。

新品種の育成にあたっては、このおいしさを探求するために、毎日様々ないちごを食べ比べました。仕事でいちごを食べられるのは幸せと思われるかもしれませんが、育種の初期段階ではおいしくないものもありますし、たくさん食べていると舌が麻痺して味がわからなくなったり、お腹が痛くなったり、結構大変です。 自分がおいしいと感じても、他の人も同じとは限りません。人それぞれ味覚には差があるので、いろいろな人に試食してもらい評価しました。
こうして育成したさぬき姫は、いちごが大好きな女性やお子様たちにきっと喜んでいただけると思っています。