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香川県のハウスミカン園における
ワタミヒゲナガゾウムシの発生状況と防除法
松本英治
 
 香川県のハウスミカン園におけるワタミヒゲナガゾウムシの発生状況を把握し,発生源と発生消長の解明およびその防除法について検討した。
 
1.香川県の過半数のハウスミカン園において,ワタミヒゲナガゾウムシの生息を確認した。特に,高松市での発生量が多く,約3割の園で幼虫による被害果が確認された。
 
2.黄色,青色の粘着テープおよび粘着シートで成虫の捕獲が可能であり,地面から地上120cmの間での捕獲成虫数が多かった。また,粘着シートの場合は,10×50cmのサイズでの捕獲効率が高かった。
 
3.成虫は年間を通じてハウスミカン園に生息していた。特に,果実肥大後期〜収穫開始期に当たる3月中旬〜5月中旬の発生量が多かった。幼虫による被害果は,成虫の増加よりも約20日遅れて増加し始め,果実着色期に多く発生した。
 
4.幼虫は少なくとも3齢を経過した。発育適温は27.5〜30.0℃付近であり,32.5℃以上では発育障害を生じた。乾燥カンショを餌とした場合,産卵から成虫までの平均所要日数は25.0℃で約60日,27.5および30.0℃で約55日であった。
 
5.ハウスミカン園では,変色や亀裂などの異常を生じた果実上で成虫が確認され,正常な果実上では確認できなかった。
 
6.成虫は,生鮮なミカン果実よりも萎凋した果実を優先して摂食した。萎凋した果実を容器に入れてハウスミカン園に放置することによって成虫が捕獲でき,容器内の果数が多いほど,成虫の捕獲効率が高かった。
 
7.次世代数は,生鮮なミカン果実よりも萎凋した果実において明らかに多かった。ただし,萎凋した果実が軟弱に腐敗した場合には,次世代が発生しなかった。
 
8.ハウスミカン園に放置されている様々な植物質が本種の発生源であった。特に,果実は重要な発生源であった。
 
9.通常の使用濃度での虫体浸漬において,成虫の補正死亡率が70%以上であった薬剤は,プロチオホス,マラソン,DDVP,DMTP,MEP,PAP,エトフェンプロックス,シハロトリン,シフルトリン,シペルメトリン,トラロメトリン,ビフェントリン,フルバリネート,ペルメトリン,ホサロン・DDVP,フェンプロパトリン・MEPであった。
 
10.萎凋したミカン果実を餌として通常の使用濃度で食餌浸漬を行った場合,浸漬当日の果実での成虫の補正死亡率が70%以上であった薬剤は,MEP,PAP,PMP,チオジカルブ,シハロトリン,シフルトリン,ビフェントリン,フルバリネート,ホサロン・DDVP,フェンプロパトリン・MEP,フルバリネート・NACであった。また,これらの薬剤とイミダクロプリドが摂食程度を無処理の30%以下に抑制した。次世代数を無処理の30%以下に抑制した薬剤は,シハロトリン,シ
フルトリン,ビフェントリン,フルバリネート,ペルメトリン,フェンプロパトリン・MEP,フルバリネート・NACであった。
 
11.食餌浸漬において成虫に対する残効性が高いのは,チオジカルブ,シハロトリン,フルバリネート,ビフェントリン・PAP,ビフェントリン・NAC,フルバリネート・NACであった。また,イミダクロプリドには,4日間程度の摂食抑制効果があった。
 
12.食餌浸漬に用いる餌として生鮮なミカン果実を用いた場合には,萎凋した果実を用いた場合に比べて成虫の死亡率が低下した。
 
キーワード:ワタミヒゲナガゾウムシ,ハウスミカン,発生,発生消長,発育,捕獲,薬剤感受性