果実の加工

 オリーブの果実は桃や杏と同じ核果類であるが、他の核果類とは大きな違いがある。それは、他の核果類は成分中かなり糖分が高いのに対し、オリーブはそれほど多くなく油分が多いことである。また、普通の核果類はそのまま皮をむいて食べることができるが、オリーブの実は渋くて食べられない。これは、オリュロペインという渋味の成分があるからである。この成分は柿の渋とは違い、炭酸ガスやアルコールで処理してもなくならない。アルカリ処理による渋の分解または、発酵等による酵素的な作用により渋みをとることができる。


 テーブルオリーブスには乳酸発酵させる方法と新漬け加工法があるが、ここでは日本人の食味にあった新漬け加工の方法を紹介する。この新漬けは野菜の一夜漬け、浅漬けに匹敵するものであり、サラダ感覚で食べることが出来る。是非、新漬けを味わっていただきたい。


家庭でできるオリーブ果実加工

新漬けオリーブの作り方

(1)脱渋
 マンザニロ種では苛性ソーダ1.8%液、ミッション種では2.0%液に押し蓋を使って浸漬し8〜12時間かけて脱渋します。液量は果実容量と同量程度とします。容器はポリバケツやガラス製のものを用い、金属製のものは使わないようにします。夜に開始して翌朝に終了するようにするとよいでしょう。時間は品種や果実の大きさ、温度によって変わりますので、果実を切断して浸透具合を確認して下さい。
 なお、苛性ソーダは水に溶かすと熱を出すので皮膚につかないよう注意して下さい。

(2)水洗い
 核周辺まで苛性ソーダが浸透したら、水洗いをします。この時果実を空気に触れさせると酸化し褐色に変色して、きれいな緑色に仕上がらなくなるので注意します。水の掛け流しも同様に水中に酸素を送り込みますので、ホース等で底から換水するようにします。初めの2、3回は続けて換水し、その後は30分毎に数回、以降数時間毎に換水を続け2、3日間、水が褐色に変色しなくなるまで換水します。

(3)塩水漬け
 まず下漬けとして水洗いの終わった果実を2〜3%の塩水に2日程度浸漬します。下漬けが終わると塩水を排出し、果実をよく水洗してから新しく調整した塩水に浸漬します。一度に高濃度の塩水に漬けると浸透圧で果実が萎れてしまうので除々に濃度をあげるようにします。塩分濃度の目安は12月まで4〜6%、翌年2月まで6〜8%、4月までは8〜10%とします。本漬け後10日位で食べられるようになります。冷暗所に保存しますが、温度が高いと発酵がすすむので注意しましょう。また、マンザニロ種は果肉が柔らかいので早めに食べる方が良いでしょう。
 なお、加工果実に異常を感じた場合は、食べずに廃棄するようにして下さい。

(4)塩抜き
 高濃度の塩水に漬けたオリーブを食べる場合は、30分〜2時間程度真水につけて塩抜きし、好みの辛さで食べるようにして下さい。


オイルの採油方法

 植物油は一般的に種子から油を搾るのに対し、オリーブオイルはオリーブの果肉から油を搾ります。そのため、油を採る方法も大きく異なっている 。現在、オリーブオイルを採る方法は圧搾法、遠心分離法、パーコレーション法の3つの方法が単独あるいは併用で行われている。


家庭でできるオリーブオイルの採油方法

 農業試験場小豆分場では簡易にできる採油法を開発しました。品種はルッカ等の油専用品種を使用してください。
ビニール袋を揉む作業がもっとも重要な作業ですので丁寧にお願いします。


簡易採油法

他の植物油の採油法との比較

 一般植物の場合、原料である種子は水分が少なく、比較的堅い構造であるので機械による一斉収穫や原料の長距離輸送、長期間の貯蔵などが可能である。例えば、アメリカ産の大豆やアフリカ産のゴマを日本に運び、倉庫に貯蔵しておいて、工場や市場の状況によって随時油を採ることができる。しかし、オリーブオイルの原料である果実は水分が多く、機械的な損傷や微生物による腐敗や変質を被りやすい性質がある。このため、収穫も一部機械化されているが、種子原料のような取扱はできない。また、遠距離輸送することも長時間貯蔵することもできない。

 高品質のオリーブオイルを採るためのタイムリミットは、収穫後72時間以内、できれば24時間以内で、早ければ早いほど良質の油がとれる。従って、オリーブオイルを採るために工場が操業できるのは農場で果実が収穫できる期間に限られている。しかも、1つの工場で取り扱える量は設備の処理能力に支配される上に、果実を遠距離輸送できないため、農場に近いところに工場を設立する必要がある。こうしたことから、イタリアでは一頃、採油工場の数が全国で2万以上あったと言われているし、現在も、数は減りはしたものの、1万程度はあると報告されている。他の生産国においても同様である。

 他の植物油とさらに大きく違う点は、油を採る工程で高熱を使用するか否かである。このように、採油前に高温で原料を加熱することが種子油では重要な処理法になっている。その理由は、
加熱によって原料中の水分を減らし蛋白質を凝固させて油を採りやすくすること、
油の中に不純物や有毒物質が溶け出すことを防ぐ
カビやバクテリア、酵素などの働きを抑える
ゴマ油のように独特の香りをつける  など、いろいろある。

 種子油の採油法としては、現在ノルマルヘキサンなどの有機溶剤を使っての抽出が主体となっている。

 オリーブの場合、油を採る工程では、こうした加熱処理や溶剤による抽出は一切行われない。すなわち、バージン・オリーブとはオリーブの果実から加熱処理も化学処理も施さないで自然のままとりだした油性のジュースである。

 一般植物の場合、採ったままの油は、ゴマ油を除きそのままでは食用にできず、必ず精製処理をしなければならない。油の精製は熱水や酸などを加えての「脱ガム」、苛性ソーダなどのアルカリによる「脱酸」、活性白土などの脱色剤を添加しての「脱色」、真空に近い減圧下で220℃程度の加熱水蒸気を通しての「脱臭」などの物理化学的処理を行う。そのため、どの植物油も本来の色合いや風味が失われ、一様に淡黄色、無味、無臭の個性のない油となり、食味検査などはあまり行われていない。

 一方、バージン・オリーブオイルは採ったまま食用にしており、精製処理はその特色を殺すものとして一切行われない。ただ、遊離脂肪酸が高いランパンテと呼ばれる等級の油や香りの悪い油だけは例外的に精製される。また、バージン・オイルは厳密な食味検査を経て分類される。オリーブオイルが特異な油である大きな理由の一つはここにある。


イタリア製小型採油機

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