特集 学校から地域へ、広がるスポーツフィールド 育てよう香川のジュニアスポーツ
スポーツは心身ともに健康で豊かな生活を送るための大切な活動です。特にジュニア期にスポーツとの良い出合いをもつことは、生涯を通じて運動に親しむ基礎ともなります。県はジュニアスポーツのすそ野を広げるとともに、将来のトップアスリートの育成も視野に入れた取り組みを進めています。

子どもたちにもっと運動と出合う機会を
  体育学・スポーツ経営学などが専門の香川大学助教授・野崎武司さんに聞きました。
  「汗を流して思いっきり体を動かすことがありますか。ああ、楽しかった!という気持ちを味わうと、生き生きとした感覚が呼び覚まされますね。健やかな心身は、実はここから育ちます。
  今、スポーツをする子どもたちと全くしない子どもたちにくっきりと分かれています。家の中にこもりがちで動かない子どもたちには、スポーツと接する機会を与えなければならないと、私は思っています。走る、跳ぶ、投げる、ける…、さまざまな筋肉を使うことで、しなやかに動けるようになり、頭も活発に動くようになるんですよ。子どもたちが運動と出合うための仕掛けづくりにも、ひと工夫が必要ですね」。

部活動の枠を超えて
  子どもたちがスポーツと接する場として学校、特に中学の運動部活動はこれまで重要な役割を担っています。
  左のグラフのように、男子の84.8%、女子の59.6%が運動部に所属し、全体では約7割の生徒が運動部で活動しています。
  しかし少子化による生徒数の減少で、種目によっては部活動そのものが存続できない学校も現れました。
  また、子どもたちのスポーツへの関心は多様化しており、学校の枠をこえたスポーツ活動の場が必要になってきています。
  このような背景から県は、平成15年、「かがわジュニア育成プラン」をスタート。全国レベルの水準を目指す「Team KAGAWA(チームかがわ)強化プロジェクト」と「Club KAGAWA(クラブかがわ)強化プロジェクト」の二つのプロジェクトで、ジュニアスポーツの育成を進めています。
  具体的にどんな活動をしているのか、まずは、「Team KAGAWA強化プロジェクト」の指定を受けて練習に励むなぎなたの選手をご紹介しましょう。

中学校運動部活動 調査結果(平成17年度 県教育委員会調査)

かっこいい!から始まった

 「最初はただはかま姿がかっこいいな、と思って始めました。小学3年のときです」。
  大岡響(おと)さん(14歳)は、なぎなたと出合ってからはや6年。
  「練習は厳しいときもあるけど、ふしぎにイヤにならない。打ちが決まったときは、スカっとするんです。負ける悔しさも勝つ喜びも、なぎなたを通して学びました」。
  昨年度ジュニアオリンピックカップ・全国中学校なぎなた大会・演技の部で見事優勝を勝ち取りました。「今度の大会ですか?二連覇したいけど、たとえ負けても行けるところまで精一杯がんばります。最終目標は、国体優勝の経験を持つ母を超えることですから」と、稽古襦袢(けいこじゅばん)の胸を張ってきっぱり。
  「なぎなたはずっと続ける」と語る大岡さんは、「スポーツって楽しい。スカっとするし、集中力も身につく」と、ほほを上気させて練習に打ち込んでいます。
  まんのう町立四条小学校の体育館に「メン!」の声が響きます。はかま姿もりりしい20人の中学生たち。
  『Team KAGAWA強化プロジェクト』は、競技力アップを目指す中学生を県が後押しようという事業です。
  なぎなたのほか、バレーボール、陸上競技、ハンドボールの4競技を対象とし、中学1〜3年生の強化選手を指定し、一貫指導体制のもとで国体やインターハイで活躍する選手の育成を目指します。
  5、6月には各拠点施設で、競技団体ごとに指定証の交付式が行われました。

大岡響さん
満濃中学校3年生 大岡響さん
交付式の様子
指定強化選手の交付式

まずは勝ち負けにこだわらず

 

山下忍さん
高松レスリングクラブ代表 山下忍さん

  次に、『Club KAGAWA強化プロジェクト』の指定競技の一つであるレスリングをご紹介しましょう。
  木曜日の午後6時30分、県立香川中央高校体育館。子どもたちが正座すると一斉に礼をして、ウオームアップのスタートです。
  ここで活動している「高松レスリングクラブ」代表の山下忍さん(37歳)は、国体優勝経験4回の実力者。3歳から中学3年生までの男女38人を、週3回指導しています。
  「保護者の中には子どもさんを将来オリンピック選手に、という熱心な方もいますが、小さいうちは勝ち負けにはこだわりません。こだわりすぎると燃え尽きてしまったり、疲れてしまったりと続かない。勝ちたいという意識は自然に生まれてきます。基本はマット運動です。ただ体を動かすのが楽しくて来ている子と、強くなりたくて来ている子がいますので、それぞれに合わせた指導をしています。『Club KAGAWA強化プロジェクト』の指定を受けて4年目ですが、続々と会員が増えて会場が手狭になるほどです」。
  うれしい悲鳴の山下さんが目で追うのは、マットの中央で子どもたちに教えている中学2年生。「あの子は全国を狙える力があります。期待してください」。
  『Club KAGAWA強化プロジェクト』では、レスリングをはじめ8競技を対象に(対象競技と施設は別表参照)、優秀な指導者を配し、高校の施設などを拠点にした地域のクラブ運営のサポートをしています。
  小中学生を対象に基礎体力づくりからスタートし、スポーツに気軽に親しむ場を提供しながら、継続的な指導によりジュニアスポーツ競技のレベル向上を図ります。

「Club KAGAWA」対象競技と拠点施設 レスリング指導
温かく見守りながら指導

スポーツで地域がつながる

  「子どもも高齢者も誰もが気軽にスポーツできる場が、身近な地域に必要ではありませんか」。
  こう問いかけるのは中学の部活動で長年にわたって指導してきた松尾綾子さん(80歳)。県の支援を受けて、総合型地域スポーツクラブ『UROスポーツクラブ』(高松市屋島)を設立しました。
  「150人の会員が、バドミントンや卓球などいろいろな種目から自分に合ったスポーツを選んでやっています。クラブを中心に地域の人々の交流が広がっていますよ」。
  子どもの健全育成や住民の健康増進、そして高齢者の生きがいづくりまで、同クラブには周囲の期待が集まっています。
  「総合型地域スポーツクラブ」は、スポーツ少年団や学校運動部と地域の連携で生まれた、住民自らが企画、運営するスポーツクラブです。県内には、現在6市町に13のクラブが設立されています。

ミニバスケットボール
手軽に楽しめるミニバスケットボール
松尾綾子さん
UROスポーツクラブ代表 松尾綾子さん

スポーツが育てるもの

  野崎助教授は、本業のかたわら総合型地域スポーツクラブの指導にも積極的にかかわっています。
  「地域に『場』ができることで、世代間のコミュニケーションが復活するなど、成果は見え始めています。スポーツを通して、子どもたちは社会的規範を学び、人間関係を培います。家にこもってテレビゲームばかりしている子どもを、外に連れ出したい。体を動かすきっかけはなんでもいいんです」。
  スポーツのすそ野が広がれば、頂はおのずから高くなります。香川県に将来オリンピックで活躍する選手が続々と現れることを期待したいものです。

野崎助教授
スポーツの効用について語る野崎助教授

8月に全国中学校体育大会 夢求め!四国で輝く風となれ!

  頂点を目指す中学生が全国から集まる、ジュニアスポーツの祭典・全国中学校体育大会が8月17日(木)から25日(金)まで四国四県で開催されます。
  全国のブロック予選を勝ち抜いた精鋭たちが熱戦を繰り広げます。ハイレベルのプレーを間近で見る貴重な機会です。見て、感動して、子どもたちに夢と希望を与えましょう。
  県内では、陸上競技、ハンドボール、卓球の3競技が行われます。
  期間中、香川県を訪れる参加者はおよそ4000人。お接待の心で温かく迎え、若くて元気な選手たちの活躍に大きな拍手を送りましょう。

県別開催競技 香川県での開催競技

マイスポーツを探せ!
  自分に合ったスポーツを探したい、そんな子どもたちに、「マイスポーツ発見事業」では、中学の部活動にはない新しいスポーツとの出合いの場を提供します。
  昨年度は100人の中学生が複数の競技を実際に体験しました。
  今年は参加者の枠を広げて、県内の小学5・6年生と中学生合わせて約200人を対象に、10月21日(土)、綾川町総合運動公園および府中湖で開催予定です。
  当日は、11の競技(別表参照)を実際に体験できます。カヌーを漕ぐ体験など、めったにないチャンスです。トライしてみませんか。

マイスポーツ発見事業 実施競技
ボート体験教室 ホッケー教室
府中湖でのボート体験教室 丸亀競技場でのホッケー教室

インフォメーション
県教育委員会保健体育課
087‐832‐3762

かがわスポーツ情報ネット
http://www.pref.kagawa.jp/sportsnet/