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豊島廃棄物を処理する中間処理施設(直島町)

 土庄町豊島の住民の皆さんと県が、国の公害調停で最終合意してから2年10カ月―。県は4月から、国内最大級の産廃不法投棄事件といわれる豊島廃棄物の処理に試験的に取り掛かり、8月から作業を本格化させます。自動車破砕くずなどの廃棄物や汚染土壌、合わせて約60万トンを隣の直島町に運んで処理する大事業で、10年という長い年月を要しますが、瀬戸内海に浮かぶ豊島は昔のように緑美しい姿によみがえります。今回の産廃問題は、県にとって経済優先社会の”負の遺産“ですが、県はこれを機に、不法投棄の根絶に全力を注ぐとともに、新たな環境産業を創出し、来るべき循環型社会の構築に貢献したいと考えています。

60万トン、10年かけて
 4月から試験的に夏場に本格稼動
 「豊島の皆様に、長期にわたり、不安と苦痛を与えたことを認め、心からおわびをいたします」。平成12年6月6日、豊島小学校体育館。地元住民約600人が出席した国の最終調停で、知事が深々と頭を下げました。歩み寄った住民代表とがっちり握手し、長年にわたる対立関係に終止符を打ちました。
 大量消費社会を象徴した産廃不法投棄事件。反対運動が起こって25年、調停申請から6年余。両者は最終合意文書に調印し、全面解決に向けて大きな一歩を踏み出しました。和解の握手は、「共創」の理念で循環型社会を築いていこうという決意の表明でもあります。

調停成立で握手する
安岐議長(故人)と真鍋知事

 地元との合意誠実に実行へ
最終合意文書は、
1. 県が住民に謝罪する
2. 廃棄物などを平成28年度末までに撤去し、直島で処理する
などが骨格となっており、県はこの最終合意の誠実な実行を約束しています。これまでに、豊島での暫定的な環境保全措置として、
有害物質を含む地下水などを流出させないため、北海岸に360メートルの遮水壁を打設
雨水を排除するための遮水シート工事の実施
遮水シート工事完了後の豊島処分地 完成間近の高度排水処理施設(手前)と
中間保管・梱包施設 (豊島)
 
など、本格的な処理事業に向けての諸準備を進めてきました。
 建設廃材などは通常、分別して埋め立てる最終処分をしますが、豊島産廃は焼却・溶融方式による処理で対応するのが大きな特徴です。溶融とは、熱を加えて固体を液体にすることで、この後、発生する副成物を再資源化・再利用して役立てます。
 この事業を実施するため、県では、豊島側に鉄骨造り2階建ての高度排水処理施設、同じく2階建ての中間保管・梱包施設、専用桟橋などを建設しました。
 高度排水処理施設は、遮水壁で流出を食い止めた地下水をくみ上げて浄化し、放流します。中間保管・梱包施設は、産業廃棄物をコンテナトラックに積み込むためのもので、見学者用の研修室も備えています。
 東西に5キロ離れている豊島・直島間は専用運搬船で結びます。豊島でコンテナトラックに積み込んだ産廃を1日2回、直島に運びます。1回18台のトラックを載せて150トンを搬送しますので、1日300トンが運べます。運搬船は年間200日程度運航、1年で約6万トンの処理が可能です。60万トンすべてをこなすには10年の年月が必要、との計算になります。
一日300トンの廃棄物を
運ぶ専用運搬船(イメージ図)
専用運搬船の桟橋(豊島)

   1200度の高温で溶融      
 豊島側の施設建設と同時に、直島側では三菱マテリアル直島製錬所の敷地内に中間処理施設(鉄骨・鉄筋コンクリート造り6階建て)を建設しました。産廃を1200度以上の高温で焼却・溶融する大型施設で、1日100トンを処理できる回転式表面溶融炉を2基、24トン処理のロータリーキルン炉1基を備えています。
 焼却・溶融方式の処理では、溶融飛灰(ばい塵)と溶融スラグなどの副成物が発生しますが、これらは埋め立てずに再利用します。
 溶融飛灰は、これに含まれる銅や鉛、亜鉛などの金属を、隣接の銅製錬所の関係施設で回収して資源化、溶融スラグは、建設事業のコンクリート用骨材などに活用します。併せて熱回収もして、発電に利用します。
 この処理施設では豊島産廃のほか、直島町の一般廃棄物なども受け入れ、処理する計画です。

 総事業費490億円 経費の縮減に努力
 10 年かけて大量の廃棄物を処理する全国的にも例のない大事業であり、490億円もの膨大な経費を要します。内訳は、当初の施設整備費が210億円、向こう10年間の施設運転管理費・海上輸送費などが年間各27〜28億円。
 これらの費用には、県議会ともども要望し実現した、国が新しく創設する補助金や排出事業者の解決金なども充当しますが、県財政の厳しい状況下で県民の皆さんの貴重な税金も使うことになりますので、廃棄物中の水分量の調整や助燃剤の活用などの検討を進め、費用の縮減に最大限努めていきます。
 さまざまな情報積極的に公開
 豊島問題は、現代社会の廃棄物問題を象徴する出来事でしたが、廃棄物処理法の改正、循環型社会形成推進基本法・リサイクル関連の法律の制定などのきっかけとなった側面もあります。
 平成13年11月議会で「香川県における県外産業廃棄物の取扱いに関する条例」が、議員提案により制定されました。この条例は昨年11月から施行されており、県に提出された協議書、報告書の内容について積極的な情報公開を進めていきます。
 豊島産廃処理に当たっては、掘削作業の各種データや毎日の輸送量、中間処理施設での処理量、排ガス中の硫黄酸化物などの濃度など、各種情報を積極的に公開します。

循環型社会のモデルに エコアイランド
なおしまプラン
 「エコアイランドなおしまプラン」は、豊島産廃の処理を契機に、循環型社会のモデルをつくり、直島町の活性化につなげていこうとするものです。リサイクル可能な県外産廃の処理などを通じて、新たな環境産業の展開を図るほか、ソフト面でも、環境教育、環境学習の場としてふさわしいまちづくりを進め、自然や歴史、文化に恵まれた直島と豊島、小豆島を結んだ体験型環境ツアーのモデルプランづくりなどに取り組んでいます

棚 田

豊島処分地

直島コンテンポラリー
アートミュージアム

昭和53年 2月 県が豊島総合観光開発に産業廃棄物処理業を許可
平成 2年 11月 兵庫県警が豊島総合観光開発を強制捜査
2年 11月 豊島住民会議が結成される
2年 12月 県が産廃処理業の許可を取り消し、産廃撤去を命令
5年 11月 豊島住民が公害調停申請
6年 3月 公害調停開始
9年 7月 中間合意が成立
9年 7月 県豊島廃棄物等処理技術検討委員会を設置
11年 8月 県が三菱マテリアル直島製錬所内での中間処理施設整備を提案
11年 11月 技術検討委員会が最終報告書
12年 3月 県の提案を直島町が受け入れ
12年 6月 県議会が調停条項を議決
12年 6月 調停が成立
13年 8月 中間処理施設の起工式
13年 12月 県議会が「香川県における県外産業廃棄物の取扱いに関する条例」を議決
14年 3月 国が「エコアイランドなおしまプラン」を承認

問い合わせ
 廃棄物対策課
 TEL:087-832-3225