ふるさとはタイムマシン
知事 先生は先見の明があったのですね。
本広 僕としては、編集の世界に来るなと言われたようで少なからずショックでした。それに、映画監督といっても、フイルムの世界で生きていくのは、なかなか大変です。そこで生活のことも考えて、テレビの世界を目指しました。ところが、ハイビジョンの登場でテレビのディレクターでも映画が作れる時代がやってきたのです。どんな仕事が来ても断らないという精神で仕事を続けてきましたが、それが運良く監督という仕事につながったのだと思います。
知事 そして、「踊る大捜査線THEMOVIE2」では、日本の実写映画の興行収入歴代第1位という偉業を成し遂げられ、今年公開の「交渉人真下正義」も大ヒット。一段と評価も高まった本広監督ですが、今後は、どのような映画作りをと考えていらっしゃいますか。
本広 映画を作り始めて最初に思ったのは、どうやったらお客さんに映画館に来てもらえるかということでした。でも、これからは僕から発信して、皆さんがどうとらえてくださるかという映画を作る時期ではないかと思っています。
知事 その映画の一つが「サマータイムマシン・ブルース」ですね。大変楽しく拝見しました。「踊る大捜査線」とは一味違った、とてもアットホームな心温まる雰囲気がありますね。弘法大師で知られる善通寺の風景にも、ふるさとの温かさがあふれていました。この映画のロケ地を善通寺にしたきっかけは何だったのでしょうか。
本広 自分から発信する映画を作るために、自分の中の原風景を探しました。すると、学生時代に自転車で走り回っていた香川の風景に行き着いたのです。
同窓会をきっかけに10年ぶりに香川に帰ってみると、善通寺の山の姿や四国学院大学のキャンパス、緑の芝生に古い校舎など、自分が過ごした風景が「サマータイムマシン・ブルース」の企画からロケ場所までストレートに結びつきました。後は、地元の協力ですが、ありがたいことに多くの同窓生が力強い協力者になってくれました。
知事 あの作品は、監督にとってもタイムマシンだったのですね。ところで、香川でまた映画を撮ってくださるご予定は。
本広 はい、すでにその構想が胸にあります。ここ何年かのさぬきうどんブームを見て、ブームというのは誰が作るのか、どこからやってくるのかということに興味を抱きました。ブームの先には何があるのか、とても気になります。だったら、これを映画にしたら面白いのではと思い立ちました。香川での次回作は、さぬきうどんをテーマにした映画「UDON(うどん)」にしようと決めています。
知事 それは、大変うれしいですね。監督もご承知のように、香川県には穏やかで多島美の瀬戸内海や四国霊場、全国に誇る香川の食・さぬきうどんや瀬戸の幸など、撮影にふさわしいロケーションや資源が豊富にあります。この夏には「007赤い刺青(いれずみ)の男記念館」を瀬戸内海に浮かぶ直島に整備し、映画「007」のロケ誘致運動を盛り上げるなど、ロケには好都合な土壌が培われていると自負しています。
本広 香川県は晴れの日が多く、気候からいっても映画の撮影地には最適です。ハリウッドのようなスタジオができ、映画の都のようになればなんて夢を描いてみたくなりますね。
知事 いいですね。映画村のようなものができれば素晴らしいと思います。今、香川県では、映画、テレビなどのロケーション撮影の誘致、支援を行う「香川フィルムコミッション事業」を強力に推進しています。また、映画での盛り上がりをさらに高めていくため、「かがわルネッサンス映像事業」を開催します。そのプレイベントとして先ごろ催した「プレ映画祭」には本広監督にもご参加いただきましたが、今後も映画による香川県のにぎわいづくり、活性化に力を入れていきたいと考えています。
本広 「プレ映画祭」では、地元の人々の映画に対する熱い取り組みに感動しました。こういう人たちがいる香川県では、良い映画が数多く生まれると思います。実は、僕は最終的に「さぬき三部作」を撮りたいと決意しています。
知事 それはぜひ実現してください。今後とも映画などを通じ、香川県の情報発信に、ご協力をお願いします。今日は、ありがとうございました。

「サマータイムマシン・ブルース」善通寺ロケ風景
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