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名僧行基ゆかりの湯
JR高松駅から車で30分、高松空港からだとわずか10分。緑と渓流の豊かな自然に包まれ、高松市の奥座敷「塩江温泉郷」がある。
山あいの川沿いから温泉街が始まり、上流に向かっても温泉が点在する。まさに阿讃の山並みに抱かれた温泉郷である。奈良時代に名僧行基が発見し、弘法大師が広めた霊泉といわれ、歴史は古い。明治・大正時代には、村営の温泉場もあったが、ガソリンカーと呼ばれる鉄道の開通で「少女歌劇と菊人形」の民間の新温泉が繁栄し、村有の温泉施設は姿を消してしまった。
もう一度、地元の人々と旅人が気軽に触れ合える温泉場がほしいとの声が上がり、2000年に日帰り温泉施設「行基の湯」が開館。「道の駅しおのえ」から木の感触も温かい橋を渡って訪れる温泉場。木戸番、湯殿と呼びたいくらい懐かしい情緒と湯けむりに包まれる。岩づくりの露天風呂で聞くせせらぎの音。この温泉郷では、川の流れが季節を詩(うた)う。
行基は、民衆の、とりわけ旅人の苦難や困難を救うことに生涯をかけたという。その思いを受け継ぐように、地元の人々も癒される温泉地づくりに力を合わせてきた。
川の環境を守ってホタルを育て、幻想的な乱舞が見られる「ホタルまつり」、夜空を焦がす花火に酔いしれる「温泉まつり」。秋の収穫を喜ぶ特産市も楽しみな「もみじまつり」、温泉郷の桜のトンネルが人波に揺れる「桜まつり」といった季節の叙情あふれるイベントの数々。そぞろ歩く楽しみにと、「ホタルと文化の里公園」には自然光を巧みに取り入れた美術館も開館した。お母さんたちは、そば打ちの体験道場を開き、おじいちゃんたちは竹細工の工房を作り、みやげ物にと塩江特産の黒豆のお菓子や黒豆茶、独特の香辛料「ばいしん」も生まれた。
地域住民のこうした努力が実り、景観が優れ、環境衛生が良好で、温泉の効能が顕著でなければならないといった数々の条件を満たし、2002年に環境省から「国民保養温泉地」に指定された。まさに、温泉地としての地歩を占めたのである。地元では、さらに多くの皆さんに気軽に立ち寄っていただこうと、直通バスで南へわずか35分、県境を越えた徳島県美馬市とも連携し、より便利で魅力的な温泉地づくりに取り組んでいる。峠を越えて季節をめでる「塩江温泉郷」。歴史の湯治場で、日ごろの疲れを癒していただきたい。
山並みに抱かれて

趣のある源泉
温泉まつり
塩江温泉郷
【問い合わせ】
塩江温泉観光案内所
TEL087-893-1102
高松市観光課
TEL087-839-2416