知事 本日は、大変お忙しい中、お越しくださいましてありがとうございます。
大林 瀬戸内海には里帰りをするようなもので、もうすっかりくつろいで子どものような気持ちになっています。こうして船が行き交う風景を見ると、少年時代の元気さがよみがえってきますね。
知事 瀬戸内海というのは、内海にもかかわらず国際航路でした。この海を中心に古くから開け、外国の文物もいち早く入ってきたのでしょうね。船が行き来し、島もたくさんあります。それぞれの島に歴史や文化があり、暮らしがあって、それが、島々の美しい個性になっているように思えます。
大林 尾道生まれの僕には子どものころに、船に乗ってどこかの島へ行くのはたいそう楽しみなことでした。でも、楽しみと同時に恐ろしさもありました。それは一つ一つの島がまったく違う異国だからなんですね。子どもにとって、見知らぬものを訪ねたり知るのは恐ろしいこと。恐ろしいからこちらも良い子になって、他者を訪ねる時の礼節というものを学ぶことができました。そんなふうに豊かな瀬戸内海から色々なことを学んできたのです。自然界には一つとして同じ物はなく、自然の一部である人間も一人として同じ人間はいないということなども。
知事 大林さんは瀬戸内海で多くのことを学び成長してきたのでしょうね。成長していく過程の物語といえば、「青春デンデケデケデケ」という映画を、香川県の観音寺市を舞台に撮っていただきましたが、どのようにお感じになられましたか。
大林 「青春デンデケデケデケ」という、私より十歳若い弟たちの青春物語に出合い、観音寺市を知りました。原作者の芦原すなおさんとお会いした時、地図では瀬戸内海を挟んで尾道の向かいは愛媛県ですが、西に向いた観音寺市の対岸は尾道であることを実感しました。実は、子どものころから私が好きで眺めていたある島がありましてね、形がたいへん面白い島なんですが、その同じ島を芦原さんが子どものころからやっぱり見ていた。島を挟んで、尾道の少年と香川の少年とが、向かい合って暮らしていたんだという驚きと発見がありましてね、一気に身近な県になりました。
知事 今のお話で、瀬戸内海は一つの海を通じて、一つの文化圏であることも感じました。香川県では、それぞれの島の良さを再発見しその文化を生かし、そしてネットワークをつなげていくために、「さぬき瀬戸しまネッ島(とう)」というホームページを立ち上げています。また、「さぬき瀬戸塾」という、島の活性化や人づくりのための塾をつくって、島同士の交流や島々から魅力を発信しようということにも取り組んでいます。しかし、なかなか島の人たちの力だけではうまくいかないという現状もあります。そういう意味では、映画の発信力というのは非常に大きなものがありますね。
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 >>>大林宣彦プロフィール
「さぬき瀬戸しまネッ島」ホームページ
http://www.kimai-net.gr.jp/kagawa/sanuki-seto/island/index.htm
女木島には、荒波や潮風から民家を守るオーテという独特の石垣がある。この島固有の生活文化にも大いに魅せられた二人であった。
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