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あっぱれ香川【人物伝】壺井 栄
高松大学経営学部教授
附属図書館長
松本 昭雄
=文
小豆島を島ぐるみ日本第一級の人気観光地にしたのは、壺井栄の小説「二十四の瞳」と木下恵介監督、高峰秀子主演の映画化であった。
栄は、詩人で夫の壺井繁治や同世代の作家黒島伝治らとともに郷土を題材とする小豆島文学を形成し、中心的活躍をする。 繁治が「あれだけのからだ(友人あて書簡)」と表現したように、栄は円くふっくらした顔をもち、ずんどうのいかにも安定感のあるからだつきをしていた。
日本で、ただひとりの母性作家であるといわれる栄の写真をみていると、何歳になっても豊かであった両の乳房や柔らかなふところをもっていた我が母のイメージと重なって、かぎりなくなつかしくなってくる。
島をつつむ空や空気。光や色。風やにおい。山そして海のすがた。さらになによりもそこに住む人びとの生活。ふるさとをまるごとつめこんで栄は、その膨大な量の小説や随筆に筆をふるい、この国のすべての人びとの心を打ってきた。
島に根づいたオリーブについても、何度もていねいに紹介した。最も早くは戦前昭和十五年(一九四〇)三月の婦人公論誌上に「オリーブ園」を。続いて、昭和二十九年、雑誌「平凡」誌上に「オリーブ」、昭和三十三年、雑誌「明星」誌上に「オリーブの祭典」、昭和三十九年、児童文学全集に「オリーブに吹く風」。当時最も売れていた「平凡」に「明星」。昭和三十年四月、時の金子正則知事は、オリーブの苗を栄にとどけ、感謝のエールを送る。
「・・・灰色がかった緑のやわらかい葉の色が盛り上っているオリーブ畑は、小規模ながらも海べりから山のふもとまで続いていて、そこからはオリーブ色の風が吹いてくるかと思うほど、年がら年中おだやかな色をしています。この木が平和のシンボルだといわれるのも、一つはこのやわらかな葉の色からではないかしらと思うほどです。・・・」(「オリーブの祭典」より)
いつも栄の作品の底には平和が据えられてあった。
「沈黙は金でない」
昭和29年(1954)1月婦人公論に掲載。この年9月、映画「二十四の瞳」が封切られる(松本文庫蔵)
>>>壺井 栄プロフィール
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