平成21年度 豊かな体験活動推進事業
丸亀市立小手島小学校
住所
香川県丸亀市広島町小手島2782番地
連絡
0877−29−2751
宿泊先
高知県四万十市(6月4日〜6月7日)
取組の概要及び成果等
(1)取組の概要
1.産業に関わる体験活動
 子どもたちの住んでいる瀬戸内海の伝統産業であった製塩について、その歴史や気候風土との関わり、製塩技術の発達等について学ぶとともに宇多津町の体験施設で入り浜式塩づくりを体験させ、先人の自然を生かした製法について思いを巡らせた。
 また、高知県黒潮町では太平洋岸での製塩法として流下式塩田の体験を行い製塩についても地域によって様々な工夫があることを学んだ。
 さらに、香川の食の産業であるうどんについて学習し、丸亀市内のうどん店でその製法について体験するとともに学校でうどんづくりを行った。出来たうどんは島の人々に接待をし大変好評であった。
宇多津での製塩体験
高知黒潮町での製塩体験
うどんづくり
宇多津での製塩体験
高知黒潮町での製塩体験
うどんづくり

2.農業体験活動
高知県四万十市での農業体験
 6月、四万十市近郊の農家で3日間ホームステイし農家での生活体験・田植え体験を行った。子どもたちは農業を実際に体験することによって農家の暮らしや家族の結びつき、人々の助け合い等を体験を通して学んだ。
島内での農業体験
 本校のある小手島では漁業は盛んであるが、農家はなく地形の関係から水田もない。しかし、食料としての穀物・野菜等の栽培は行われている。そこで島内で昔から行われていた芋作りを農地を借り受け体験した。
田植え体験
島の人からいもについて話を聞く
いもほり
田植え体験
島の人からいもについて話を聞く
いもほり

 
(2)特に工夫や配慮をした事項
1.
ねらい
 本校は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島にある小中学校併設の3級へき地校であり全校児童は3名である。島で生まれ、家庭が漁業のため、島外で宿泊することもほとんどなく、島の狭い地域での体験しかなく、人間関係も固定化しているため、価値観も狭く、多様な体験に乏しい。そのため、社会に出たとき、多様な価値観に戸惑い、挫折することが多い。このような島民の子どもたちに様々な地域での自然体験や交流を通した社会体験を積ませることで、豊かな心と社会性を培いたい。
2.
取り組みの特徴
 5月に学校近くの農家で、農業体験や瀬戸内の伝統産業の体験活動を行い、自らの力で活動する体験をさせる。(全学年)また、瀬戸内の伝統産業である製塩について体験させるとともにその歴史・役割等について考えさせる。
 6月上旬、3泊4日で高知県四万十市で長期宿泊体験事業を実施する。主に四万十川でのカヌー等の自然体験、四万十川の伝統漁法などの漁業体験、農家に宿泊して田植え体験・いちご収穫体験・収穫物を素材にした調理体験を行う。さらに、事後の活動として、島内で漁業体験、農業体験等を行い、日常的な体験活動へとつなげることで、積極性や自立心の育成の強化を図る。
 また、宿泊先の家族との交流を通して、様々なふれあい体験をさせることで、社会性を養い、思いやりの心など豊かな心を育む。
3.
プログラム作成の工夫点
伝統産業体験、自然の中での勤労体験など児童生徒が味わったことのない体験を意図的に計画し、自然に感動する心・勤労を尊ぶ態度などの豊かな心を育む。
自然体験の中で、人との交流体験を意図的に組み込み、子ども同士や大人との触れ合いを行わせることで、コミュニケーション能力や社会性を育む。
4.
評価の工夫点
事前学習において、体験活動の個人目標を立てるとともに、体験活動後にその自己評価を行う。
体験活動後に感想文を書くだけでなく、児童生徒の発達段階に応じて、体験活動の様子や学んだことをまとめ、地域の方が参加する小手島文化祭で発表を行う。
IKRアンケートを事前と事後にとり、それを分析することでその児童生徒の変容を客観的に見る。
(3)成果等
「田の水が温かかった」「苗を植えるのが難しく農家の人々の苦労が分かった」「みんなの協力が大切だ」「温室でのイチゴ収穫はすごく暑かった」「四万十川の川遊びが楽しかった」など子どもたちが今までに経験したことのない農家での田植え体験、収穫体験、川遊び体験など自然の中での様々な活動に対し、感動と喜びを持って取り組むことができた。
農家宿泊体験を通して、その農家の3世代にわたる家族の結びつきやそれぞれの役割分担、近所や地域の人々の協力体制等を身をもって体験することができた。宿泊農家の人とはその後もメール等で交流を続けている。
瀬戸内海での製塩法と太平洋での製塩法をそれぞれ体験することにより、その製法の違いを地域の自然や歴史の違いなどと関連づけて考察することができた。
受け入れ先の農家は大変協力的で、体験活動のねらいや活動についてよく理解しており充実した体験ができた。また、幡多広域観光協議会の方には体験プログラムの作成、ホームスティ農家の斡旋、体験活動の指導助言等について細々とお世話いただいた。
今まで行った様々な体験活動によって、あらためて自分の生まれ育った島についてその産業や自然について考えることができ、児童一人一人が自分なりに島の将来について構想を持ち、その考えをまとめることができた。

■IKRアンケート・・・生きる力測定アンケート、4人の児童生徒にそれぞれの体験活動が終わった直後に実施した。得点の低い方が好ましい(生きる力がついている)傾向があると考える。

体験活動を通じて、上位能力「心理的・社会的能力」が上がっている。(評定点は低くなっている。以下同様)
その中では、特に、下位能力の「非依存項目」「積極性」「現実・肯定」「視野・判断」「適応能力」の項目が上昇している。
このことにより、経験したことのない様々な地域での体験活動で子どもたちの視野が広がり、社会性の育成に寄与しているのではないかと考えられる。
また、上位能力の「徳育的能力」の中の下位能力「思いやり」の評定が低くなってきている。これは、体験活動の中に交流体験を多く取り入れた成果ではないかと考える。
アンケートの回を追うごとに(体験活動を行うごとに)どの項目も平均して得点が低くなってきている。このことは、それぞれの項目ともその能力が体験活動によって醸成されつつあるということを示しているのではないか。


生きる力(IKR)測定アンケート結果 (昨年度から、得点の低い方が望ましい)
能力 年月
H20/7
体験活動
H21/1
体験活動
H21/2
体験活動
H21/10
心理・社会的能力
18.0
剣 山
まんのう公園
16.5
大 山
14.8
塩つくり
農業体験
14.1
徳育的能力
11.1
9.8
10.9
8.9
身体的能力
9.5
7.9
10.4
7.0
全  体
38.6
34.2
36.1
30.0

学校の推進体制と学校支援委員会の活動
(1)学校の推進体制と学校支援委員会の活動の概要
(推進委員会構成メンバー)
校長、教頭、教務主任、体験活動担当教員
(推進委員会開催時期)
毎月1回実施
(推進委員会の活動)
体験活動の目的を明確にするため、島の子ども達の課題は何かを分析し、身に付けなければならない資質、能力をさぐり、その解決のための体験活動を企画する。体験活動ごとに事前指導、準備の計画を立て、実施後に評価を行い、次の体験活動の計画、実践の改善に生かす。また、事後の評価を行い、成果は何か、課題は何かを明確にし体験活動の改善に生かす。また、学校支援委員の開催と協力依頼を行う。
【学校支援委員会の構成】
 
勤務先又は機関・団体名
職 名
備 考
1
丸亀市教育委員会
主任指導主事
2
小手島地区
自治会長
学校評議員
3
小手島地区
学校評議員
4
小手島小中学校PTA
PTA会長
5
小手島小中学校
校 長
6
小手島小中学校
教 頭
7
小手島小中学校
教務主任

(2)成果等
校内で月1回、推進委員会を行うことで、体験活動の意義づけ、事前指導、事後指導等の円滑な実施に向けて、共通理解ができ、体験活動がそれぞれの教員の主体的な取り組みとなり、その活動の意義を理解した実践が行われた。
学校支援委員会を行い、校外の様々な方々から違った視点での意見をいただいたり、学校の考え方や取り組む姿勢を評価していただき、体験活動の充実に向け大変有意義であった。特に、島在住の委員の方2人には農業体験において農地を提供していただき農作物の植え付け・世話・収穫・講話などいろいろ協力いただき、その他の学校運営にも多大な協力を得ることができた
今後の課題と改善点
体験活動の日数をもう少し長くできればよい。そのため児童自らが様々なものに挑戦し、それを克服するような体験活動計画が十分に組めなかった。
今年度は体験活動の計画、準備の大部分を意図して教師側が行ったため、児童はやや受け身になっており、児童自らが提案できなかった。次回からは今年度の成果を踏まえて計画段階から児童を関わらせるよう事前の活動を工夫する必要がある。
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