監査委員公表(第437号)
●香川県監査委員公表第16号
地方自治法(昭和22年法律第67号)第 252条の37第5項の規定に基づき、包括外部監査人榎本浩から監査の結果に関する報告の提出があったので、同法第
252条の38第3項の規定により別冊(平成14年度包括外部監査の結果報告書 県税の賦課徴収事務について)のとおり公表する。
平成15年3月7日
香川県監査委員 松
本 康 範
同 篠
原 公 七
同 石 川 稠 治
同 広 瀬 員 義
別冊の概要
「県税の賦課徴収事務について」
地方自治法第252条の37第1項及び第2項に基づく包括外部監査
「県税の賦課徴収事務について」
全国的に各都道府県の税収は落ち込んできており、今後もこのような傾向は続く見込みである。新たな財源確保のために、新税導入の議論が盛んとなってきているが、東京都で導入されたいわゆる銀行税については、東京地方裁判所及び東京高等裁判所において、違法判決が下されたところであり、新税導入に慎重にならざるを得ない状況である。
香川県の平成14年度の県税収入は、前年度に比べ大きく落ち込むことが見込まれており、歳入確保の必要性が高まっている。
このような状況の中で、現行税制の枠内で、最小の徴税コストで最大の県税収入を上げているかという効率性の観点から監査を実施することが有用であると判断し、特定の事件に選定した。
(1)本庁税務課 (5)仲多度事務所(中讃県税事務所)
(2)高松県税事務所(東讃県税事務所) (6)三豊事務所(西讃県税事務所)
(3)坂出県税事務所(中讃県税事務所) (7)小豆事務所(小豆総合事務所)
(4)大川事務所(東讃県税事務所)
平成14年6月24日から平成15年1月29日まで
(1)各県税事務所の賦課徴収業務は、関係法令に準拠して適切に行われているか。
(2)各県税事務所の課税業務は、正確かつ課税もれのないように行われているか。
(3)各県税事務所の徴収業務は、適時に効果的に行われているか。
(4)各県税事務所の不納欠損処理は、正しく行われているか。
(1)課税に関する業務フローを税目ごとに聴取し、課税客体の網羅性の確保及び課税内容の正確性の確保のために採られている方策について聴取した。あわせてデータ入力作業の外部委託先との契約条件等について聴取した。
(2)徴収に関する業務フローを税目ごとに聴取し、徴収率向上のために採られている方策について聴取した。あわせて大口滞納先の状況と対策について聴取した。
(3)東讃県税事務所及び中讃県税事務所において現場調査を行い、必要書類の閲覧、証憑突合、質問等を行った。また不動産取得税及び個人事業税について一部を抽出して基礎資料との照合を行い、課税の正確性について検証を行った。
(4)課税誤りの件数について資料の提示を受け、課税誤りを防止する方策について聴取した。
公認会計士 4 名 会計士補 1 名
県税の全税目でみた徴収率は、平成13年度で全国15位と健闘しているが、個人事業税(42位)、自動車税(36位)については、低順位となっている。
この点について、全税目の徴収率が高いのは、租税環境に恵まれた結果とも考えられ、県が直接徴収を行う個人事業税及び自動車税の徴収率が他県に比べ悪いことを勘案すると、県の賦課徴収能力は高いとは言えないものと思われる。
今後は、長引く低金利時代と景気悪化の影響から、平成13年度に好調であった法人二税、県民税利子割及び地方消費税の税収が期待できないため、現状のままでは、歳入不足や徴収率の悪化は避けがたいものと思われる。
県税収入を確保するためには、各県税事務所が独自で行動するだけでなく、事務所間の調整を十分に行った強固な協力体制の下、県税徴収確保対策を講じることにより、現年課税分の徴収率の向上と、収入未済額の圧縮による滞納繰越分の徴収率の向上を図る必要がある。
また、県税徴収率を高めるためには、個人事業税及び自動車税の徴収率が悪い原因など、各県税事務所の徴収業務の現状を分析し、収入未済額がどのような原因で発生しているのか等を十分に検討し、対策を講じる必要がある。
@ 本庁税務課の役割について
現行の税務関係組織においては、県税事務所は、県税条例に基づき、それぞれが知事より直接委任された県税に係る徴収金の賦課徴収及び過料に関する業務を行っており、また、本庁税務課は、県の税務行政全般に係る施策・方針の決定を行うほか、一部税目の賦課徴収、県税事務所の情報のとりまとめや研修などの業務の調整等を行っている。
現状では、各県税事務所は、独自に賦課徴収業務を行っているため、各事務所間で格差が生じているように思われる。
県税事務所間の格差をなくし、県として統一した賦課徴収対策を実施するためには、県の税務行政全般に係る施策・方針の決定権限を持つ本庁税務課が、より強力なリーダーシップを発揮し、各県税事務所を指導・監督することが望ましい。
A 業務量に見合った組織の見直しについて
県税事務所の業務量(職員一人当りの納税義務者又は滞納件数) を職員数で除し、職員1人当たりの業務量を簡便的に算出すると、県税事務所間でばらつきがみられた。
各県税事務所における納税環境、地理的条件等の相違がある以上、このような簡易的な業務量分析で結論は出せないことは確かである。
しかし、抜本的なコスト低減と効率的な業務運営を図るには、業務量に見合った組織へと改善することが有効な手段であるため、定期的に各県税事務所の業務量調査を実施し、各税目の担当職員数がその業務量に見合っているかどうか、総務担当職員数がその業務量に見合っているかどうか等を吟味の上、可能な限り業務量の平準化を図る人事施策、組織改正の検討を行うことは重要であると思われる。
また、今後、電子データの利用による課税事務の効率化が見込まれるが、各県税事務所の業務の量や質を分析し、県全体の事務事業量を念頭に置きつつ、限られた人員をどう配置すれば税収増加に効果があるのかを検討することが望まれる。
B 税務担当職員の専門職化について
今後、納税環境を見ると、賦課徴収にかかる様々な側面においてますます高度な専門的知識や技術が求められる。そのため専門的知識や技術の不断の習得が必要であり、研修制度の充実を図ることは重要な施策の1つである。
しかしながら、3年から4年での人事ローテーションで担当者が異動する現行の人事制度では、専門家育成という点では限界があるように思われるため、税務担当職員を専門職とする等の人事制度の見直しについては検討の余地があるものと思われる。
各県税事務所では、課税については、未申告者として把握している法人数及びその状況、そのうち申告した件数及び金額など、また、徴税については、滞納繰越分の徴収率、処理の件数及び金額などの数値的な状況を示す資料により管理が行われているとは言い難い。一覧性のある管理資料により管理を行うべきである。
各県税事務所長は知事より賦課徴収等の業務を委任されている以上、これらの資料に基づいて委任事務の結果について、本庁税務課と県税事務所間の連絡会議等により詳細に報告を行うことが必要と思われる。
現在、本庁税務課及び県税事務所の間で行われている会議の内容を検討すると、税務事務関係のノウハウの共有を行い、具体的な課税客体の把握方法や徴収業務の管理・監督者による進捗管理の方法について、情報交換を必ずしも十分に行っているとは思われない。そのため、県税事務所間で管理資料が異なっていた。今後は、県税事務所間の連絡会等を通じて、優れた手法を共有することにより効率的な課税事務を実施する必要がある。
法人二税の申告書の入力については今後、チェック用のデータを国税から入手することにより大幅に効率化されることが期待されるが、これをさらに押し進め、国税と県税の申告書のフォームを工夫し一元化するとともにシステムを統合することができれば、そもそも照合といったこと自体が不要になると思われる。
また、現在、県の賦課徴収業務は多くの部分を国税に依拠することになっており、県税事務所が独自に徴収努力できる範囲には限界もあり、努力したとしても国税の業務と重複している部分が非常に多いと考える。
法律面での今後の課題として、国税と県税の課税・徴収についても、それぞれで課税・徴収することにさほど意味があるとは思えず、共同課税・徴収あるいはどちらかに委託といった形態を採用した方がコスト的にも、また課税・徴収の確実性といった点からも望ましいと思われる。
@ 課税客体の県税事務所間の把握方法の違いについて
課税客体について、例えば、電話帳や自動車登録から把握することできるが、その実施は各県税事務所に任されており、実施状況にばらつきが見受けられる。
各県税事務所には、それぞれの方針がある以上、課税客体の把握の状況を全く同じにする必要はないが、より効率的な課税客体の把握のために、情報の共有化や、把握方法のある程度の統一は図られるべきと思われる。
また、電話帳による未申告法人の把握が人的制約から実施が困難であるという事務所があったが、税務事務所間の連携を密にし、一時的な人の融通を行うなどの方策を検討すべきである。
A 不申告法人の把握・顚末の管理状況について
不申告法人(申告したことのある法人のうち当年度の申告書が提出されていない法人)については「不申告法人一覧表」が出力され、各県税事務所の担当者はこの一覧表をもとに調査することになっている。しかし、この調査は各担当に任されており、県税事務所としては進捗管理を行っていない。一部この一覧表を査閲したところ、顚末が明記されていないものが見受けられた。管理者は、顚末を明確な形でこの一覧表に記載するよう指導し、一覧表の顚末内容については、担当から報告を受けることにより進捗管理をすることが望ましい。
また、登記簿や電話帳などによる課税客体の把握によって判明したものについても、同様な点が見受けられた。統一したリストや報告制度を検討することが必要である。
さらに、不申告一覧表の内容について、詳細が整理把握されていないが、特に問題と思われるのは、国税及び県税ともに申告されないままとなっているものである。
県税事務所としては、国税に申告があったものについてのみ、県税の賦課決定ができ、国税に申告がない限り所得調査の権限はないので、国税と密接に連携をとることにより、不申告法人に申告を促すことが必要と思われる。
これらを含め、早急にリストの現状を詳細に把握し、必要なものについて申告を促すことが必要である。
不動産取得税については、課税時期について地方税法上定めているものはないが、取得から課税までの期間が長くなれば、収納時期が遅くなり、また、県税事務所により課税までの期間が異なるのは税の公平性の観点から好ましいものではない。今後は、取得から課税までの期間を短縮するとともに各県税事務所の扱いを統一する必要がある。
@ 不動産取得税における登記所及び市町からのデータの利用
不動産取得税においても市町及び法務局における情報を利用しているが、これらは元来電子データである。これらについて、現状は紙ベースの情報で入手し、再度入力票に手書きで記入し、システム入力しているが、非効率であり、またミスを誘発する恐れも生じる。
国税のデータについては電子データで入手する予定であり、不動産取得税についても必要な電子データを関係機関から入手し、入力の省力化とミスの防止に努めるべきである。
A 申告書のOCR化について
現在、国税である法人税や所得税についてはOCR様式になり、システムによる読込みが可能となり、また県税においても、自動車取得税及び自動車税の証紙徴収分についてはOCR化され、システム的に入力が行われるものとなっている。
今後、その他の法人事業税などのフォームについてもOCR化することができれば、システムのコストは発生するが、正確性及び今後の入力コストの削減に寄与することとなる。
ただし、電子申告の導入が予定されており、この進捗状況も見極めながら、検討をすべきと考える。
現在、いくつかの税目について事務効率化のためにデータ入力の外部委託を行っている。この委託会社のチェック作業について、業務委託契約書に明文化されてはいない。今後、入力の正確性を維持するため、必要なチェック作業について契約書に明文化すべきである。
県で把握している最近の不動産取得税の課税誤りに関する件数データでは、中讃県税事務所及び西讃県税事務所で転記ミスが多く発生しているという結果がでている。他の県税事務所の防止策などを参考にして、課税誤りを減少されたい。
今後、課税誤りの発生については件数のみならず金額を継続的に把握し、それについて原因を調査して、対策を講ずることが必要である。
@
個人県民税について
(@)市町との連携について
個人県民税の賦課徴収権限は市町村に法定委任されているため、収入未済額を減少させ、徴収率を向上させるには、各市町の徴収率に依存せざるを得ない。いかに各市町の徴収率の向上を図るかが重要な課題となってくる。なお、平成13年度の各市町の徴収率は、84.8%(琴平町)から99.1%(直島町)までとばらつきがある結果となっている。
県においては個人県民税の徴収率の向上と滞納額の圧縮を図るため、以下の個人県民税徴収確保対策を実施し、各県税事務所と市町との連携により滞納整理の支援の取組みがなされている。
a.市町との合同会議・税務協力会議を開催し徴収状況を把握する。特に、高額滞納者リストを入手して、課税及び徴収状況を把握する。
b.要望のあった市町に対しては個人住民税徴収対策連絡会を開催し、共同文書催告、共同臨戸徴収を実施する。
c.徴収事務研修会の開催、市町への講師派遣等による徴収知識・技術の向上を図る。
d.町との連携による滞納者の財産調査等
これらの取組みは、各県税事務所によって、その実施状況が異なっていた。
共同文書催告、共同臨戸徴収の実施状況、実施頻度、実施内容について、各県税事務所の間で格差が生じないように、本庁税務課もしくは事務所間連絡会議等により、各県税事務所間の調整を図り、統一的な施策を講じることが必要である。さらに、高額滞納者リストは、各市町すべてのものを入手し、滞納者の情報を十分に認識した上で、より有効な滞納整理措置や支援の取組みが必要である。加えて、中讃県税事務所で実施された滞納整理組合等との連携については、他の県税事務所でも積極的に取り組むことが必要と思われる。
個人県民税の賦課徴収権限は、市町村に法定委任されているため、徴収率の向上策として市町との連携による滞納整理の支援の取組みがなされているが、市町においては人員の制約などから強制執行等の手続きを行うのは困難な状況である。
このため、県が積極的に個人県民税の徴収に関与する以下の施策は、徴収率の向上に有効と思われるため、今後検討が望まれる。
a. 県内全市町による滞納整理組合の設置
市町から扱いに困った滞納案件を預り、文書での催告、資産の差押え、公売の一連の手続を一切の私情をはさまず、事務的に進めるための徴収専門の事務組合を、県内の全市町の大同団結のもと設立する。運営は県の支援も受け、事務組合の職員は、大半は県と市町の派遣で構成するが、現役の弁護士、裁判所執行官や警察官などのOBを加える。
ただし、香川県においては既に6つの滞納整理組合が存在しており、これら既存の組合との関係を十分検討する必要がある。
b.
県の直接徴収(地方税法第48条)
強制徴収をあまり実施できていない市町については、個人住民税(市町村民税及び県民税)の徴収事務を市町から引継ぎ、県が直接徴収を行う。
A 収入未済額(個人県民税以外)の状況について(意見)
収入未済額については、時間が経過するほど整理が困難になることから、税務事務運営方針や県税徴収確保対策実施要領において、滞納繰越事案についての対策を早期に講ずることとされており、平成12年度以降重点的に実行に移されている。
この結果、滞納整理が若干ではあるが進んでいることが窺える。
なお、滞納整理に係る重点項目の成果については、収入未済額の残高、不納欠損処理額等により全般的には判断できるが、各事務所において、個々の重点項目の成果(対象となる事案がどの程度あり、その事案がどのように処理されたか)が具体的に示された管理資料は高額滞納案件を除き作成されていない。
今後は、滞納整理の重点事項等については、その進捗状況を具体的に判断できる資料を作成し、本庁税務課及び各県税事務所においてその状況を把握するとともに、当該資料に基づき追加措置の指示等が行えるような管理体制の構築が課題である。
B 自動車税の滞納整理について(意見)
(@)滞納整理の進捗管理について
県では、自動車税の滞納整理を強化し、徴収率をアップすることを徴収確保対策の重点項目の一つとして位置付け、以下の施策を講じている。
a.文書催告、電話催告、臨戸等により早期に滞納者への接触を行う。
b.納税の意思が見られない滞納者については預貯金、給与等の一斉差押えを行い、収入未済額の圧縮を図る。
c.滞納繰越の継続者、車検切れ・抹消の自動車に係る滞納者等については、重点的に臨戸等による接触、滞納処分を行う。
d.大口滞納者については、分納等の促進を図るとともに、期待できない場合には早期に滞納処分等を行う。
e.夜間・休日開庁による納税受入の実施
(本庁税務課)
本庁税務課では滞納整理の進捗管理のために、10月、12月、1月、3月、5月末において、各県税事務所から「差押予告通知書送付件数等」、「自動車税一斉差押に係る徴収状況等」の報告を受け、各県税事務所の差押え手続の実施状況及び徴収状況を把握している。
今後は、各県税事務所の自動車税に係る差押え状況のみならず、各事務所で実施している滞納整理状況を把握し、適切な指導を実施することにより、各県税事務所間の格差を是正するとともに徴収率の向上を図ることが必要である。
(各県税事務所)
各県税事務所では、平成13年度より、自動車税の滞納件数が非常に多いため、早期のうちに滞納者に催告、臨戸等の接触を図り、初動効果による徴収促進及び迅速な資産差押え等による収入未済額の整理促進を目標として、自動車税の滞納整理の進捗状況(催告、臨戸等の状況)を把握している。
しかし、滞納整理進捗状況の管理資料・方法については、各県税事務所でフォームが異なっているため、フォームを統一し、各事務所とも同一の基準で管理する必要がある。なお、滞納整理進捗状況、未接触の状況を事務所長が把握する上では、中讃県税事務所のフォームが有効であると思われる。
(A)自動車税滞納者に対する自動車の差押えについて
東讃県税事務所の管轄内の中古車販売業を営む高額滞納者に対し、不動産競売事件への交付要求、預金差押え等の措置は講じているが、販売自動車の差押えは実施していなかった。
不動産、預貯金等の差押えについては、具体的な徴収効果に乏しいことがありうるが、自動車自体の差押えを実施することは、自動車販売業、運送業に対しては、営業自体に直接影響を与えるため、滞納額の徴収に有効な手段となりうる可能性が高いものと考えられる。
今後の課題として、自動車の差押え手続を検討することが必要と思われる。
自動車税に関して、徴収率のアップ及び徴税コストの削減を図るためには、自動車重量税と同様、車検時に自動車税を前納させる制度への法律改正が望まれるところである。
C 自動車税以外の滞納整理について(意見)
(本庁税務課)
本庁税務課では、各県税事務所の差押え状況や高額滞納案件の状況を、各県税事務所から報告を受けるなどして把握するようにしている。
平成12年度及び平成13年度の自動車税を含むすべての税目についての差押え徴収実績を調査したところ、各事務所において若干の差異はあるものの、全体として差押えによる徴収行為が進んでいた。
今後は、自動車税と同様、各県税事務所の差押え状況のみならず、各県税事務所の滞納整理状況を把握し、適切な指導を実施することにより、事務所間の格差を是正するとともに徴収率の向上を図ることが必要である。
(各県税事務所)
税の滞納が発生すると税務オンラインシステムにより、税目ごとに滞納整理小票が出力される。滞納整理の管理は、各県税事務所とも個々の納税担当者がこの滞納整理小票に徴収状況を記載することにより進められている。進捗管理について、中讃県税事務所では、月次ベースで、担当者ごとに滞納整理小票の発生枚数、残枚数を記載した「納税進行管理集計表」を作成し、事務所長に報告することにより、積極的に実施していた。しかし中讃県税事務所以外の事務所では、事務所長が事務所内会議で納税担当者の滞納整理小票による管理の状況の報告を受けるという方法で進捗管理を行っていた。
平成13年度における中讃県税事務所の滞納整理小票の発生枚数及び残枚数の状況を調査したところ、滞納整理小票の残数は減少しているため、滞納整理が速やかに実施されているものと思われる。
滞納件数が多い各県税事務所の現状においては、滞納整理の進捗状況の全般的な管理として、滞納整理小票の枚数管理が有効な手法と思われ、各県税事務所においては、各担当者の進捗状況を滞納整理小票の枚数管理等の手法により十分に管理し、長期にわたる未接触件数を少なくするとともに、徴収促進及び収入未済額の迅速な整理促進を実施するよう指導し、徴収率の向上を図る必要がある。
特に、中讃県税事務所以外の県税事務所では、事務所として滞納管理の進捗状況が把握できていなかったため、滞納整理小票の枚数管理を採用することが必要である。
D 滞納整理事務支援OAシステムの利用について(意見)
滞納整理事務を支援するシステムとして、税目、その滞納額などを整理した資料を作成できる滞納整理事務支援OAシステム(徴収検索くん)が構築されている。
各県税事務所での利用状況を検討したところ、中讃県税事務所では当システムから不動産取得税、自動車税の滞納者リストを作成し、滞納整理の効果的促進を図っていた。他の県税事務所では、個人レベルでの利用にとどまっているのが現状であり、事務所としての統一的な利用ができていない状況であった。
滞納件数は多大であり、個別に管理することは実務上困難である。滞納整理事務支援OAシステムから滞納者を抽出し、抽出された滞納者に対して重点的に処理状況を検討し滞納整理を推進する等、各県税事務所における統一したシステム利用方法を検討することが必要である。
@ 高額滞納者に対する取組みについて
滞納繰越分のうち1,000千円以上の滞納者については、高額滞納者として定義し、各県税事務所では重点的に徴収対策を検討している。高額滞納者については、滞納整理小票に記載した内容を、個々にその経過や今後の処理方針として別紙にまとめ、本庁税務課に報告している。当該資料に基づき、本庁税務課においても年3回、各県税事務所を回るなどして、高額滞納者の処理状況について協議している。
香川県の高額滞納者の業種としては、風俗業、パチンコ業が多く、経営者への接触が難しく、十分な資産調査ができないことにより徴収が進まないものや滞納処分の執行停止等の措置が講じられないものが見受けられた。
県税に係る滞納者については、県税事務所が積極的に資産調査を進め、徴収、滞納処分の執行を迅速に進めるべきである。
また、事務所によっては、本庁税務課に報告している「高額滞納状況一覧」が、その状況把握に有効活用されていないように思われたところもあり、高額滞納者の重点管理を実施するに当たっては、本庁税務課に対する報告資料という位置付けではなく、各事務所における高額滞納者の管理に当該資料を活用することが必要である。
県税に係る滞納者については、県税事務所が積極的に資産調査を進め、徴収、滞納処分を迅速に進めるべきものである。
しかしながら、税務署(国税)の調査能力及び徴収実務が長けているのも事実である。県独自で調査するのにも限界があり、また、税務署が調査した内容を重複して調査することは時間の浪費といっても過言ではない。
税務署が滞納処分の停止等の措置を講じた滞納者、高額・悪質な滞納者に関しては、税務署と協議を密にするとともに、その調査資料を利用した上で、県での調査を実施するという方法を検討することが、迅速かつ効率的な滞納整理を実施するうえで有効であると思われる。
滞納案件の整理を進めるには、各担当者の能力(知識、経験、判断)によるところが大きいため、早期回収及び滞納処分を効率的に実施することを目的として、徴収手続を具体的に記載した「徴収マニュアルT、U」を既に整備しており、担当者の日常業務に役立てられている。
また、徴収のための専門的知識・技術の習得、維持を目標として、継続的に研修会を開催している。
実施されている研修内容は徴収実務に即したものとなっているが、研修項目としては、徴収能力をより強化するため、税務署(国税)での資産調査のノウハウ取得、自動車の差押えの実施手続等の研修を実施することが望まれる。
本税が納期までに納付されない場合、延滞金が発生するが、延滞金額が確定するのは本税が完納された時である。徴税の観点からは、本税を納期までに納めてもらうことが原則であるが、滞納が発生したものについては、本税のみならず延滞金についても100%徴収することが必要である。
各県税事務所においても、本税と同様、延滞金についても滞納整理小票において管理している。また、延滞金の未納額については、「延滞金未納リスト」により、納税者ごとの未納額が把握できるようシステム対応もなされている。
ただし、延滞金は入金額が調定額となっており、延滞金の未納額を未収入金計上する仕組みとなっていないため、決算においては未納総額を集計しておらず、管理上も延滞金の未納額については集計されていなかった。
今回の監査において、確定延滞金の未納額の算定を依頼したところ、平成14年12月9日現在で218,662,383円であった。
延滞金も本税と同様、徴収すべき公金であり、積極的に徴収を図ることにより、税外収入ではあるが、広義の意味で県税収入の増進につながるものである。
また、本庁税務課、県税事務所が本税の滞納のみならず、延滞金の徴収もれをも見逃さないという強固な姿勢を県民に意識させたならば、今後の徴収率の向上に少なからず寄与するものと思われる。
ただし、延滞金は入金額が調定額となっており、延滞金の未納額を未収入金計上する仕組みとなっていない会計制度下においては、延滞金は附帯金として第二義的な債権という意識が強くなり、本税の徴収が終われば、強制徴収の対象としない取り扱いとなるおそれがある。
延滞金についても、各県税事務所において納付義務者及びその徴収すべき金額を把握し、延滞金の高額滞納者に対しては個別管理のうえ積極的に徴収を進めるとともに、安易に不納欠損処理を実施しないよう、本税と同様、本庁税務課とのヒアリング対象とし、今後の処理方針を検討することが必要である。
また、出力帳票の「県税賦課徴収実績調」には、延滞金は実際の徴収額しか表示されないため、延滞金の滞納管理を強化するためには、本税と同様、発生額、徴収額、収入未済額、徴収率を示した管理資料を作成し、延滞金を含めた本来の滞納額を把握するようシステムの改良が望まれる。
@ 口座振替制度の普及策について
口座振替制度が広く普及すれば、滞納者の減少が期待され、結果として滞納整理に費やす手間を省くこととなり、徴収率の向上と徴収コストの軽減を同時に解決する施策の一つである。しかしながら、香川県の口座振替制度の普及率は、ここ数年では比較的安定して推移しており、普及率の大幅な上昇は見られない。個人事業税については香川県は23.5%に対し、全国では40.7%である。
口座振替制度については、現時点でも、ラジオ放送(毎年7月頃)、新聞広報(毎年5月頃)を実施するなど広報に努めているが、広報の頻度を増やす等、今後さらに口座振替による納税を進めていく必要がある。
また、口座振替を促進する施策として、法律上、検討すべき問題はあるものと推察されるが、口座振替利用者に対する税金の割引、分納による納付、香川県立施設の利用券等を配付する等のインセンティブ(口座振替制度利用者の優遇制度)の供与については検討の余地があるものと思われる。
A その他の自主納税推進策について
滞納を未然に防止するためには、納税者自身に納期内納税、自主納税の意識を高揚させることが必要である。このため、県においても検討されているが、県税の徴収状況と使用状況について県民に対して積極的に開示し、納税者との信頼関係を確立するとともに、休日、夜間の納税窓口の開設、全国の郵便局、コンビニエンスストアでの納税が行えるようにする等、納税しやすい環境を整備することが必要と思われる。
(1)徴収率と徴税費の関係について(意見)
全体的にみれば、香川県の徴税費は、税収入、税務職員数との関連において、近隣県と比較して低い方であるが、さらなる諸経費の削減と業務の効率化を検討することが必要である。
また、コスト低減を図ることは重要であるが、コストが若干増加したとしてもそれ以上に徴収率アップによる税収入の増額が確実に見込まれるのであれば、県としてはむしろ望ましいことである。
徴収率の高い都道府県の徴収施策を詳細に調査分析し、徴収率アップによる税収入増加額とコスト増加額を比較考量のうえ、香川県として採用できる施策を検討することも必要であると思われる。
県税事務所別の県税収入に対する徴税費の割合を比較してみると、高松県税事務所以外の事務所が相対的に高く、特に小豆事務所が7.3%と高くなっている。これには県税事務所における税目の比率が異なることや、県税事務所の規模が大きく影響しているものと思われるが、出先機関再編後における各県税事務所の徴税費の発生状況を詳細に分析するとともに、さらなる諸経費の削減と業務効率化を図る必要がある。
(2)徴収取扱費について(意見)
徴税費の約48%を占める徴収取扱費等のうち約80%は、市町に対する個人県民税の徴収取扱費である。現在、個人県民税の払込金額の7%が徴収取扱費として支払われている。
個人県民税は、賦課徴収権限が市町村に法定委任されており、県独自で徴収できないため、市町が徴収した県税額について、一定率を取扱費用として支払っているものである。
大半の納税者は滞納することなく、少なくとも調定額の97%程度は年度内に徴収されるのが現状であるため、市町に対しては、現年分の徴収率をさらに向上させるとともに滞納繰越分の徴収率を高めることが要求される。
徴収率の程度にかかわらず常に実際の徴収金額の7%を徴収取扱費として支払う現行の制度は、市町が積極的に個人住民税(市町村民税及び県民税)の徴収率を向上させようとする動機付けとしては効果が少なく、むしろ、徴税コストが割高になるという弊害をもたらしているものと思われる。
市町の徴収活動を高め、個人県民税の徴収率を向上させ、かつ徴税費のコスト軽減を図るためには、徴収取扱費の料率を弾力的に適用する制度、例えば、現年分については過去3年間の平均の徴収率等ある一定の徴収率を下回る場合には7%よりも低い料率を用い、滞納繰越分については高い料率を用いる等への改正が望まれるところである。
以上
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