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見直しの経緯と新基本方針の性格・役割
・ 平成14年3月に「香川県自然環境保全条例」が改正されました。この条例改正と自然環境保全に関する様々な状況の変化を受けて、昭和50年に策定された基本方針の全面的な見直しを行いました。
・ 基本方針は、自然環境保全に関する施策の基本的事項を定める中長期的な方針として「香川県自然環境保全条例」で位置づけられており、自然環境を保全するための各施策は、この方針に沿って展開していきます。
・ 新基本方針には次のような特徴を持たせています。
(1) ため池などの身近な自然の保全に重点を置いた。
(2) 自然環境の類型ごとの対応方針を明示した。
(3) 基本方針の次期見直し(5年後)までに速やかに着手する施策を明示した。
新基本方針の概要
第1 自然環境の現状と課題
本県の自然の特徴は、継続的な人為の働きかけによって維持されてきた二次林やため池などの里地里山生態系が広く見られることです。しかし、農業人口の減少等により、放置された森林やため池が増加しており、かつては身近に見られたキキョウ、オミナエシなどの野生生物の多くが絶滅の危機に瀕しています。
また、都市化の進展に伴う土地利用転換などの開発行為や鑑賞価値の高い植物の過剰採取による影響が依然として見られるほか、近年、ブラックバスやブルーギルなどの移入種による影響の拡大が懸念されています。
第2 自然環境の保全に関する基本構想
1 自然環境に対する理念 (@豊かな文化の根源、A持続可能な発展の基盤、B予防順応的態度)
ため池の維持管理や水利の慣行が多様な生物の存続をもたらしてきたように、本県には、自然と共存するための知識や技術が蓄積されています。こうした資産は、新たなライフスタイルを築くために有効な手がかりになると考えられます。
また、人間生存の基盤である環境は、自然の物質循環を基礎とする生態系が健全に維持されることによって成り立っており、自然資源の管理と利用にあたっては、科学的な知見に基づく慎重かつ柔軟な対応が必要です。
2 自然と共生する社会を実現するための目標
自然と共生する社会を構築するための中長期的目標として次の3点を掲げます。
@ 人間活動と密接に関連しながら育まれてきた香川の自然環境や生物多様性を、人と自然との新たな関係のもとで、保全・修復を進めること。
A 県内に生息・生育する種に、あらたに絶滅のおそれが生じないようにするとともに、現に絶滅の危機に瀕した種の回復を図ること。
B 将来世代のニーズにも応えられるよう、自然環境の質の低下をもたらさない持続可能な方法により、県土の利用や自然資源の利用を行なうこと。
第3 自然環境の保全に関する施策の基本的事項
1 施策の基本方向 (@人と自然の新たな関わりの構築、A保全の強化、B自然環境の再生・修復)
二次林やため池などの二次的自然環境がほとんどを占める本県の自然環境を総体として保全するためには、人の生活・生産活動とのかかわりあいの中で保全していくという考え方が必要であり、自然環境の人為的な管理や利用を行う新たな仕組を構築していくための取組を進めます。
また、本県の代表的、典型的な生物相や生態系を保全するため、科学的データに基づく保護地域の指定の拡充を進めるとともに、絶滅のおそれのある野生生物の生息環境の改善、外来魚の駆除、自然景観の修復などの分野において、改変の進んだ自然環境の再生・修復を進めます。
2 施策を進める上での基本的視点
施策を展開する上での基盤的要件として次の5つの視点を挙げます。
@ 科学的認識: 科学的データに基づく認識を政策決定や取組の基礎とする。
A 風土性の捉えなおし: 身近な自然に目を向け、地域の文化と自然の価値を再認識する。
B 統合的アプローチ: 社会的、経済的側面を含め統合的に問題を捉える。
C 知識の共有・参加: 積極的な情報公開により多様な主体の参加を促し、合意形成を図る。
D 連携・協働: 市町、県民、専門家等との緊密な連携を図る。
3 自然環境の類型ごとの対応方針
自然植生が分布する地域は、今後とも厳正な保護管理を行います。本県の大半を占める里地里山地域においては、二次的自然環境の管理技術の確立や関係者の合意形成に関する実験的な取組を進め、将来的に他の地域でも同様の取組が進められることを目指します。河川においては、自然河岸や河畔林の保全とともに、河道の再自然化や河畔林の修復を進めます。海岸、浅海域を含む瀬戸内海においては、現存する干潟、藻場、自然海岸の保全を基本とし、人工化が進展した地域において干潟、藻場の再生を進めます。島嶼地域に見られる独特の生物相や、残された自然海岸、海浜植物の群落については保全を基本とします。都市地域においては、都市公園、道路等の公共空間の緑地のほか、学校ビオトープ、企業所有地や住宅地の緑地など、様々な主体による緑地の整備を促進します。
4 主要テーマ別取扱方針
今後速やかに実施すべき主要施策について取組方針を示します。
@ 二次的自然環境の保全と再生
ため池を核として一定の広がりをもつ流域を対象に、二次的自然環境を保全・再生していくためのモデル事業を実施する。様々な主体の参加を呼びかけ、自然環境の管理の手法や実施体制、環境学習のあり方等について検討する。
A 重要地域の保全
生物多様性の保全上重要な地域を特定するための作業を進め、保護地域の管理の充実及び生態的ネットワークの形成を図る。また、香川県立自然公園条例を改正し、希少な動物種の捕獲制限措置を導入すること等により、生態系保全対策を強化する。
B 野生生物の保護管理
絶滅の危険性が高い野生生物について、保護地域の指定や生息・生育環境の改善等の対策を実施し、個体数の回復を図るとともに、個体の捕獲・採取を制限するための措置のあり方について検討を進める。
農林業等への被害を増加させているシカ、イノシシ、サルについて、生息状況や被害発生状況に関する情報を収集・整備し、科学的、計画的な個体群の管理に努める。
ブラックバス、ブルーギル等の移入種による影響を低減・排除する具体的手法を検討するためのモデル事業を実施する。
C 自然環境データの整備
希少野生生物の分布状況についての情報システムを構築し、環境アセスメントや保全活動の基礎資料として情報を広く提供する。
D 自然とのふれあいと環境教育・環境学習の推進
ドングリランドビジターセンターや五色台ビジターセンター等の関連施設を有効に活用するとともに、NPO等とも連携し、自然体験活動の充実を図る。
5 施策の効果的実施
施策の実施に際しては、多様な主体の参加、協力を得るとともに、土地利用や社会資本整備など他の行政分野の各種方針・計画との整合性を確保します。
5年程度を目途として、新基本方針の実施状況を点検し、必要な見直しを行います。
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