エコアイランドなおしま
 
▲トップへ戻る ▲委員会の取組みトップへ戻る

Vol.7 2003年4月号
 みなさん、こんにちは! 今月号は、3月5日に行われた「ワークショップ成果発表会」の大特集号です。昨年8月から熱心に活動してきたメンバーによる発表、馬路村で有名な松崎了三先生による講演会、京都の旅館の主、西田和雄先生によるトーク、パネルディスカッション・・・。
 当日お越しいただけなかった方のために、また、当日来ていただいた方のおさらい用に、今月号はワークショップ成果発表会を大特集します。と〜〜っても、面白いですよ!
 みなさん、最後までお付き合いくださいね!!

紙上中継!!
ワークショップ成果発表会

 成果発表会は、下記のような盛りだくさんの内容で行われました。今月号では、この次第に従って、内容をご紹介します。


●次  第●

あいさつ(香川県)



 【成果発表】
  その1:これまでの検討の経緯
  その2:これから直島でやってみたいこと
                     ワークショップメンバー 


 【基調講演】
みんなでこうしたら直島を全国にアピールできるでぇ

                     松崎 了三 氏


 【トークセッション】
直島流のおもてなし

          松崎 了三 氏 + 西田 和雄 氏


 【パネルディスカッション】
直島の魅力を高めよう

          パネリスト
                松崎 了三 氏
                ワークショップメンバー
          コーディネーター
                西田 和雄 氏


あいさつ(直島町)



香川県あいさつ

●神野香川県環境部次長●

 昨年5月、「エコアイランドなおしまプラン」に基づき、住民の皆様方と事業者、行政が一体となって、環境と調和した町づくりを進める推進組織「エコアイランドなおしま推進委員会」を設立いたしました。環境の島・なおしまの魅力を高めるワークショップはその活動の一環で、住民の皆様方自らが町づくりに主体的に取り組むきっかけづくりをするものです。昨年8月に設立してから、2班に分かれて、これまで月1回のペースでワークショップを開催してきました。「直島の環境の質を高める」「本物を食べさせる場づくり」の2つのテーマについて検討してきて、今日はその成果発表会です。

「環境の島・なおしま」として、全国のモデル地域となるよう、ワークショップメンバーからの提案をふまえ、住民の皆様が具体化にむけ、これから実践していただけますようお願いします。

 続いて、ワークショップメンバーによる成果発表です・・・!!

ワークショップ成果発表会

 本日のメイン、成果発表です。メンバーが、次々舞台に上がり、8月からの活動の報告を行います。みんな、ワークショップの時の打ち解けた雰囲気にはない、やや緊張の面持ちでした。

★はじめに 〜これまでの検討の経緯〜 ★



◆高橋リーダー◆

 直島のエコタウン事業は日本で15番目に誕生しました。2千年にもなる直島の郷土史の中で、エコアイランドなおしまプランは歴史的な大事業であると私は信じています。
エコアイランドなおしまプランのハード事業は三菱マテリアル内の環境センターが、ソフト事業はこのワークショップが中心となって活動します。ソフト事業は、まず、人づくりから始めなければ出来ません。町民の協力がなければ成功しないのです。
 ここで、みなさんに、ちょっとお聞きします。我々ワークショップの報告書を「ワークショップ通信」という形で作成し、月に一度、町の広報誌と一緒に配布しています。会場のみなさん、「読んだことがある」という人は手を挙げてみて下さい。

 (会場のほとんどの手が上がりました!)

 たくさん読んでくださっていますね。ここへ来られるくらいだからよく勉強して下さっている。ありがとうございました。
 これから、ワークショップのメンバーがこれから直島でやってみたいことを発表します。どのアイディアも、我々が苦心して考えたものです。そして、どのアイディアも、実現のためには、みなさんの協力が必要です。ぜひ、みなさん、直島の明日をよくするために、みなさん一緒にやりましょう。

★ 直島の環境の質を高めるグループが
 これから直島でやってみたいこと ★




◆下津リーダー◆

 かつて直島は自然の美しい島でしたが、最近、人間生活の影響で痛んできています。そこで私達のグループでは「昔からある自然を取り戻そう」「貝取りが出来るようにしよう」「塩田の跡地を修繕しよう」という話し合いをしてきました。
 私は子供の時は高松に住んでいましたが、直島によく遊びに来ました。小さな貝を捕ると、先輩から「来年捕れなくなるぞ」と怒られたものです。このころから環境教育というものはあったのです。
 また、「町中のごみをなくそう」「休耕田に花を植えて町に花を増やそう」「港をきれいにしよう」ということも話し合いました。
 島の玄関である能美の浜は、歌にもあるように昔はきれいでした。しかし産業の発展に伴い、浜が汚れてきています。昔は立派な浜であったのだから、業者にも協力を頂いてきれいにしたいものです。また宮ノ浦のフェリーは一日約20便、宇野へ行っています。船から来る客が宮ノ浦に好感を持てるような港の景観づくりをしていきたいです。



◆中根サブリーダー◆

 サブテーマを「直島の自然と遊ぼう」「リサイクル準備中」の2つのテーマにしました。そのうちの「自然と遊ぼう」の紹介をします。
 今の子供は家の中でゲームなど、おとなしく遊ぶことが多いです。私が子供の時は外で、野原で、空き地で、いろんなことを自分たちで考えて遊んでいました。竹を割って作ったスキーで松葉の土手を滑る、松葉スキーなども楽しみました。今の子供にも外での遊びを教えてあげられたらと思います。
 かつて宮ノ浦は、民家の周りの田圃など、自然がいっぱいありました。今の直島の休耕田の周りの溝は、三面護岸コンクリートです。水はすぐ流れてしまい溜まりません。こういう環境ではアメリカザリガニやメダカは棲めないのです。
 しかしまだ直島に自然はあります。そこでまず直島の、どこにどういう自然が残っているか、皆さんと集まって、散策しながら探してみようと思います。「直島自然探検隊」です。一緒に参加しませんか?直島の白地図に書き込み、地図を作りながら、自然探検していきましょう。自然を完全に元に戻すのは難しくても、元の状態に近づけていくというのは出来るのではないかと思うのです。



◆渡辺さん◆

 「リサイクル準備中」について話します。私は仕事上、直島に来島する旅行者と話す機会がよくあります。「きれいな町ですね、ごみがあまり無いですね」と言われます。しかし実際は路地裏などごみがあちらこちらに散乱しています。前に直島クリーンキャンペーンに参加した時、多かったごみは空き缶、吸い殻、流れ着いたごみでした。
 自然探検をして、ごみを拾って、ごみの多い所はどんな所か話し合いたいと思います。こうした活動には、地域通貨もうまく利用できるのではと考えています。
 集めたごみは、どうするか。直島は今、ごみステーションで収集し、町でまとめて捨てています。しかしちゃんと出来ていない面もあります。住民一人ひとりがもっと意識を高めれば、もっと良いことが出来ると思います。資源ごみ回収ステーションを作りたいとのメンバーの意見もありました。でも具体的に何をしたら良いかがまだわかりません。関心のある方と共にもう少し勉強して一緒にやっていきたいです。・・・ということでタイトルはリサイクル準備中になりました。

★ 本物を食べさせる場づくりグループが
 これから直島でやってみたいこと ★




◆堀口サブリーダー◆

 人と仲良くなる時は必ず、食事をしながら、お茶しながらおしゃべりしています。  来た人が「もう一度来たいな、島のあの人に会いたいな」と思うような素敵な直島にしませんか?
 グループの目的は「食を通して直島に来る方達と交流する。本物を食べながら直島の良さに気づいてもらいたい。」です。
 直島にはおいしいものがいっぱいあります。魚、野菜、そして忘れていけないのは海苔。メンバーの間で、海苔を使ったおにぎりを島を訪れた人に食べてもらいたい・・・という話になりました。
また、直島には観光客がホッと休める場所が少ない。そこで休憩所を作ってあげたいのです。島の人と観光客がおしゃべりできる休憩所です。島のオアシスになるのではと思います。
 そしてメニュー。直島の料理をみんなで考えよう!ということで、料理コンテストに参加しませんか。今、大人気の小豆島の宿・真里では、盛り付けも素晴らしい料理が呼び物です。小豆島と直島は近いし、食材も重なるところが多いでしょう。私たちも頑張れば、こんなことができるかもしれません。
 究極の目標は郷土料理店です。昨年11月、視察で行った愛媛県内子町石畳の宿。普通の主婦達が作った宿です。雑草や柿の天ぷらなど、こんなものも食材になるんだと驚きました。また、食べながら料理を作った人と外から訪れた人が交流できる、あたたかい宿でした。わたしたちも、コンテストで好評だった料理を出して、旅行者に食べていただきながら、島のことを伝えたいと思います。
 まずは直島に、どんな食べ物があるのか、どんな人材がいるのか、ということで人材と食材のバンクを作ります。食の達人、海の達人、畑の達人、食べる達人を探しましょう。直島の旬のカレンダーも作ります。皆さんも私たちと一緒にやっていきませんか?こんな楽しいことはなかなか出来ないと思います。どうせやるなら楽しく! それも明日からではなく、今からスタートさせましょう。

 続いては、松崎了三先生による基調講演です。 ユズで有名な高知県馬路村の仕掛け人なんですよ。


基調講演 松崎了三 先生



名前も知らない村の特産品は売れない

 私は高知から来ました。昨年の12月に引き続き、2回目の直島です。高知で馬路村のユズを売って16年。そこで学んだことは、地域のイメージがすごく大事ということです。名前も知らない村の特産品は売れないんです。名前の知らない村には遊びに行けないでしょ。では、地域のイメージはどうしてできるんでしょうか。今日は、そんな話をします。

あなたはこの島を汚しませんか?

 直島はよそから人が入れません。船で来ないと。環境の島というなら、船から降りた人に「あなたはこの島を汚しませんか?」と聞いてみてください。「汚します」と言ったら「島に入るな」と言えばいいんです。誰でも来ていいぞと言ってはいけません。まずは、客を選ぶことですわ。直島のファンを作るにはどうしたらいいでしょうか。順に話していきますね。

頭の中には小さなカセットテープが入っている

 人間の頭の中には小さなカセットテープが入っているんです。本当ですよぉ。このカセットテープに情報がずっと記憶されていきます。友達、マスコミ、いろんな情報が入ってきます。その記憶されている情報が、必要なときにピカリと光るんです。それがイメージなんです。
 例えばご飯を食べようと会社から外に出る。Aというラーメン屋、次にBという和食の店、またCというホテルのフランス料理が思い浮かびます。イメージした3つの店の中で選ぶ・・・今日は13時から会議だから、早く会社に戻らないといけない。それでAに決めて入る。他にもいっぱい昼飯を食べる所はあります。でもイメージされなかったお店には絶対人は来ない。つまりイメージしない商品は買えない・・・。
 ではなぜイメージしたか。それは日常の情報コントロールによるんです。だから「私たちはこういう思いでこういう商品を作った」とか、自分たちで情報をコントロールしなあかんのです。私たちの島にはこんなことがあると。情報コントロールができない商品、店、地域は、手の打ちようがないですね。
 「食べる前からうまい」ことがあります。例えば遊びに行って、友達の家で朝ご飯に卵かけご飯をいただく。卵は庭でニワトリの産み立てをとってくる。まだぬくい。で、しょうゆをかけずに四万十の青のりをかけろと言う。米は炊きたて、しかも玄米をたった今精米した新米やで、と。食べたらこれがうまいっ!・・・味は すぐには分からんがですよ。でも食う前からうまいんです。
 情報を大事に考え、自らイメージを作っていくことが大事です。

ひたすら馬路村になろう

 馬路村は、高知県民も知らない村やったがよ。人口1200人足らずで、カモシカとイノシシは一万頭以上。ここで今、ユズが売れているのはなぜか。
 田舎は都会を追いかけるんです。都会は面白い。情報もある、仕事もある、遊びもある。
 都会の人は田舎をどう見るか。できたての野菜を食べ、釣れたての魚を食べる。空気もおいしい。のんびりしている。「あんたらええなあ」と、都会は田舎を追いかけるんです。
 で、馬路村が都会にアピールするにはどうしたらいいか。単純です。「ひたすら馬路村になろう」。向こうが追っかけてくるのだから。人間をテーマにしないとだめです。子供はおじいさんがユズの畑に行くリヤカーに乗って移動し、水中めがね持って川でアユをつく。それをポスターとかでアピールする。
 実はユズは隣村の方がたくさんあるんです。全国どこでもユズはある。しかし名人はオンリーワン。馬路村のユズ作りの名人のおんちゃんは一人しかいない。人間をテーマに、コミュニケーションの軸を人間にすることで成功したんです。
 今、買い手は、「生産者の顔を見せてくれ」と言いますね。馬路村は15〜6年前から、みそ、ジャム、佃煮のパッケージにおばあさんや子供の写真を入れていました。
 そういう意味で人間にテーマを絞ること。大げさでなくて、新しい価値は人間にしか作れないんです。発想・切り口ということです。人間を磨くしかない。

おむすびの価値

 例えば、あなたがアユ釣りに行くとき奥さんがおむすびを握ってくれたとします。
 おむすびa:「大好きな旦那さんのために」と握ったもの。
 おむすびb:「何であんたの遊びのために、朝早から握らないかんの」と文句を言いつつ握ったもの。
 おなかが空いたとき、aのおにぎりを食べると、「おいしい、また食べたい、かわいい女房だ、土産買おう、今度一緒に温泉行こう」という気になる。また食べたいおむすびa。
 奥さんがいやいや握ったおむすびbは、食べておなかがふくれてそれだけ。bには物質的な価値しかないから、大量生産して、最終的に価格競争にいくだけ。こうなるともうだめ。今は腹一杯食べたいという時代でないです。モノの価値でなくて、皆おいしく、安心な、精神的価値がある物が食べたいんです。





大事な人をちゃんともてなす

 お宅では、お父さんが帰ってきたとき「ご苦労様でした」と迎えていますか?
 今、「ものすごく大事にされてる」と感じる店が少ない。それがやれている店だけが価値があると思う。
 あとで出てくる京都の旅館の要庵さんも同じ。誰でも良いからドンドコドンドコ来てとは言わない。部屋に入ると「松崎様」と手書きのメッセージがある。よそで夕食を食べてきても、おなかが空いていてはいけないのでと、おむすびがおいてある。こういう事がきちっと出来るかどうか。自分のお客さんときちっとコミュニケーションができているかどうかです。
 大事な人をちゃんともてなすと言うこと。部屋に入った瞬間に大事に迎えてくれちゅうんや、しかも私を、と思える。それがリピート客になるんです。
 毎年要庵の西田さんが1月6日に七草を送ってくれる。手紙が入ってる。『土佐人は1日から酒飲み放題、皿鉢料理食い放題。あんたはめんどくさがり屋だけど、今日はこれで胃を休めて下さい』と。彼が女なら結婚申し込むね。それだけ気が使えてる。そういうことがやれたらファンは増える。決して技術でないんです。
 馬路村は通販もしていますが、最初に決めたことがあります。「電話はゆっくり取ろう」と。中村さんというおばちゃんがいる。電話が鳴る→取る。「はい・・・・・。馬路村・・・・・農協です。」その感じがええ。ゆっくりしゃべる。なぜか。町の人は急いでいる。その人が電話してきて「馬路村・・・農協です」といわれるとガクッとなる。その時に僕はほっとしていると思う。リズムが狂ったときに気が抜けてるんやないかと。田舎を感じているはずです。
 「時間」や「空間」は特に地域のイメージの中心軸になります。「おおきに〜」と言われると京都を感じるね。そういうモノを地域できちっと作らなあかん。言葉とか時間は田舎の文化なんやね。高松とか、松山とか、中心商店街は全部一緒でしょ。個性がない。
 自分たちを掘り下げていく事が大事なんですわ。自分をさがすのが重要と思ってます。モノではない、いっぱい作ることではない、人がどっさり来たらいいと言うことではない、ということ。自分たちと理解し合える人を「お客」という。
 日本はお客を神様にしすぎたんやね。お客の言うことなら何でもと聞かなければならないと。量販店がそう。スーパーマーケット。バイヤーは偉そうに言う。お金ばっかり値切られる。育てていくという気はない。そういうのは相手にしたらダメです。

ここにあるものを見つけ、活かすこと

 大事なことはここ(直島)にあるものを見つけるっちゅうこと。それを自分らがどう活かすか。
 馬路村で学んだこと。ここにあるユズを自分らで育て自分らで売るから、利益が出てまたユズを高く買える。育てることと売ることは、産業的には分離しているけど、これを融合せなあかん。
 直島のワークショップのことで言ったら、「うまいものを食わそう」と言うことと「環境を整えて」、「外の人と交流しよう」ということを分けないこと。食と交流を分離せずに考えた方がいい。
 馬路村は、全国に37万人の顧客がいる。その人達にパンフレットを出す。「馬路に温泉があります。遊びに来て下さい」という情報と無料入浴券を載せる。
 要はきっかけなんです。行くきっかけにこういうプロモーションがある。来たら飯を食い、お金を落とす。帰りにユズを買う。お金が落ちる。大阪へ戻り、土産が無くなったら、次は通販。どこからでも金にしてしまったですねえ。
 こうやって地域にお金が落ちる装置を作ることですね。この仕組みを作ったときにくるくる回る。例えばボランティアでやっても長続きしませんわ。よくあるので気をつけてください。融合すると言うこと。交流のことも、景観のことも、おいしいモノ食べさすということも、宿のことも、同じもんやで。融合したモノがお客さんにとっての「直島のイメージ」になっていく。



もらって嬉しい請求書

 馬路村での売上が1億もない頃のことです。ダイレクトメールを出すというので、手書きにしてくれと言いました。封筒も全部季節で変えるんですよ。季節の挨拶を書いてます。手書きにした方が温かいからね。そして山から紅葉切ってきてもらって、請求書にはさんで入れたんです。そうするとお客が受け取った時に、紅葉がはらはらっと落ちる。そのお客さんは「秋が届いた!」と。町には季節がないんです。すぐ電話をくれるわね。「秋を送ってくれて有り難う」と。喜ばれる請求書は少ない。お金もさっと振り込んでくれるので、通販やっていても不良売掛けは少ない。
 要は手間をかけなさいということ。通販のプロの会社は量、効率の世界です。自分たちは非効率なことばかり。それが実は大手メーカーの出来なかったことなんです。
 自分たちでできる「直島らしい」ということは何なんだ?ということを掘り下げると、最終的には個性というものが生まれるっちゅうことですわ。まだ始めたばかり。あわてないでコツコツやって下さい。



ホンモノとは

 本物という話があったが、一つは島の入り口、つまり港をどうするかです。入った瞬間がポイントです。時間が変わるとか。雰囲気が全然違うとか。大事ですよ、それが一点。
 宮崎の本物センターを作った郷田実さんは、本物とは「土も野菜も食べた人、買うた人も、皆が喜ぶものなんや」。では偽物とは・・・「売れたおまえだけが喜ぶもの」と。伊賀の里モクモク手作りファームの吉田さんは、本物とは「手に取るだけでその人の苦労がにじみ伝わってくるもの」と。
 文旦作りのオヤジがいるんです。「来年はもっとうまい文旦を作る」と。歳は80才くらい。あと5回ほどしかチャンスはないんですよ。諦めてないおじいやね、と思った。そのおじいの作るものならボクはなんでも食べようと思ったね。

丁寧に急ぎなさい

 今、直島の将来のイメージはたくさんあると思います。それは必ず現実にして下さい。やったら現実が変わりますから。変わったところで更に新しい現実がある。考えてばかりいたらいけない。やってから考えましょう。「丁寧に急ぎなさい」ということです。


 続いて、ステージの上には椅子がふたつ。京都の旅館・要庵(かなめあん)西富屋(にしとみや)の主、西田和雄先生をお迎えしてのトークセッションです。


トークセッション


松崎: 知り合って5年くらいかなあ。初めての時、すごく気遣いがあるなと思った。要庵では、「時間」と「くつろぐ」ということについて、彼が研究してきたことが現場で見える。皆さんが今後直島で素材も含めてサービスを提供するということなら、実行している人に話を聞いたらいいと思ったんです。

西田:

今、京都は厳しいです。生き残るにはどうしたらいいか。先ほどの話の都会と田舎を東京と京都に変えたら、京都の目指すものが見えてくる。どうしたら生き残れるのか、逆転の発想をしてます。
 先ほど直島の「港」という話が出たが、本当にそうです。西富屋の玄関入ったら皆びっくりしはります。それだけでお客が京都に来たとイメージするように演出してます。大学1年の娘も手伝っています。私は株式会社として自分が生きるためにやっている。直島の皆さんは自分の仕事を持った上で、町のためにもやる。エラいと思う。
 今読んでいる本に嵐山光三郎の「ローカル線温泉旅」があります。そこには「一旅館が頑張るだけではだめ。町ぐるみでイメージを高めなければ人は来ない」とあります。
 勉強するだけでなく、実行することが大事です。直島が立派になれば人は来るし、人が来たらお金は落ちます。町が豊かになります。住む人に誇りができます。住民も増えます。若い子も戻ってきます。
 ブルータスという情報誌が今、「四国探検帖」という特集を組んでいます。トップが直島。「アートだけでない素晴らしい町」と。これは20〜30代の若者が読む雑誌です。今がチャンスです。チャンスの時は少々しんどくても活かすべき。チャンスを逃すと次のチャンスはなかなかやってきません。是非とも頑張っていただきたいと思います。
松崎: プロがいなければ、素人が調理するというのでもいい。但し素材にこだわること。「島のおばちゃんがやってるねん。でもすごくおいしいよ。」そういうものができんかな?
 ブランドというのは外部の信頼関係。自分たちがブランドつくろうと思ってもなかなか出来ない。例えば直島の○○なら間違いないねというのが外部の信頼。信頼がブランドになります。お客が決めることなんです。
 馬路の例でいうと、村ぐるみでやっているというイメージ。農協の誰かがとか、松崎商店の誰が、ということになると、ああはならない。
 実際にやりながら、プロにアドバイスをもらいながら自分たちのレベルをあげていくことです。
西田: 考えたら絶対だめですわ。人から異端、変人やなと言われたくらいでちょうどいいんです。今ソニーやホンダなど日本のトップの会社は、ある時期日本で異端でした。今はスタンダードですね。
 直島はちょっと変わってるねと言われるくらいでいい。優等生は、所詮優等生の枠を越えられません。考える人間は賢いから行動が出来ません。小さいことでも行動して、積み重ねることです。ナンバーワンからオンリーワンへ。僅かな差の積み重ねがオンリーワンになり、他の町や村がまねできないものになるんです。僅かな差も塵と積もれば山となる。徹底して邪魔くさいことの積み重ねが山になる。町づくりは人づくり、人づくりは三代の計。百年かかる事業です。継続してやる方がいいと思います。
 直島という島を素晴らしくするというのと要庵のお客に喜んでもらうというのと原点は同じです。私ももう一度学ばせてもらおうと思い、京都から出て寄らせてもらいました。


 さて、このお二人に、ワークショップメンバーの代表も加えてのパネルディスカッションが始まります。コーディネーターは西田先生です。

パネルディスカッション


西田: まず最初に中根さん、今日こうして発表して、松崎さんの話を聞いて、気持ちの中で変わったことがありましたか。
中根: まだ現実的に実感というものがありません。これから徐々に勉強して頑張っていきたいと思っています。
西田: 直島の環境の悪いところをあげるより、残っている良い環境をどうしたいか話す方が早いし、変わりやすいです。実行して下さいというのは、変える楽しみを知ってほしいからなんです。
堀口: お話を聞いていて、心はお金に変えられないと思いました。笑顔とかありがとうとかサービスが大事と思う。これから私たちがやろうと思っているのも実際にどれだけのものが出来るか分からないけれど、来た人にいい気持ちになってもらうことがリピーターを生むと思います。
西田: 良いものを見る目を養わないといけません。一流は一流から学びます。町民のみなさん、旅行されるときは、ぜひこだわりの店や宿に足を運んでもらいたいと思います。
 直島にベネッセのホテルがありますね。このホテルを良い意味でプラス材料にしたらどうかと思うんです。ブランド力もある。
 2月に勝山でのれんを作っている加納さんという方に会いました。直島の民家にのれんを掛けて、民家を含めた町づくりのアートをしているそうですね。そういう文化的財産はお金で買えません。それに食を掛け合わせたら一つのイベントが出来るし、マスコミを呼んで発信していけば名前も売れます。売ってなんぼなんです。
 心も大切だが、心だけではだめ。心が素晴らしくても料理がまずければだれも行きません。お料理良くて心も素晴らしいけど、そこの施設がぼろぼろでクモの巣、ゴキブリがぞろぞろ、クーラーもない、では行かない。そのバランスが大事です。現場でやってる者からの意見です。
高橋: 年の功ですが、よそから来た人に知識を伝えたいと思っています。またそれが喜ばれるんです。みなさん、直島のことを知りたいと思ってきているから。ベネッセの現代アートなども世界に発信している。どちらかといえば外国人の方が多い。そういう客を迎えて、「よくおいでくださいました!」と心で迎えたい。それで休憩所作りを提唱しました。土間で良いからストーブをおいて、町の者が集まっていて、そこに旅人が来て「案内して下さい」と。食べるものも欲しい。それも考え中です。うちにはよく人が来ます。それも何回も。あまりおいしいものは出していないが、喜んでもらえる。やはり心だと思う。それと会話があったらいいと思います。
松崎: 素材で勝負するものとプロの技術と両面と思います。それをお客が選択したらいい。両面持っている店がおもしろい。素材については履歴書が欲しいですね。どこそこの誰それが水深何メートルの所で捕ってきたタコ。農産物はいつ、どこで、誰がどのように作ったか。
 入り口一つで中に三つくらい店があっても良い。マスコミが放っておかないような仕掛けをする。聞いただけで気になるような仕掛け。そういう仕掛けをどれだけその企画の中で作れるか。話聞いた時、「気になる〜、寄って飯食ってみたい〜」という店。魚が強いなら、魚に絞り込んでも良い。あれもこれもではしんどいです。
 三面張りコンクリートについて言えば、高知県で、80mだけ自然の川に戻そうとやっているところがあります。国土交通省の予算もついています。今年もう一回コンクリートを壊して石などで作り直します。単純に水路に石をおく、石をおくと陰が出来る、陰が出来ると水温が変わる、水温が変わったところに生物が生まれるんです。ビオトープはそういう発想です。そう意味で「普通の形」に戻していくことです。大事と思う。三面張りを見たときに豊かでないでしょう。石がある方が気持ちがいい。
 気持ちがいい空間ってなんだろうと。缶やごみを捨てるのがもし島の人なら、罰金です。見つけたらお金を取る。高知県は水源税とか環境税を取るようにしました。県民みんなから五百円です。これはマスコミが放っておかない。直島の環境のために税金五百円払いますと言ったら、全国に広がりますよ。この広告費はすごいものです。逆にお金を取るから意識が生まれるんです。高知の意識もそう。当然反対もある。しかし反対があるから、そんなに海って大事なの、森って大事なのと皆が考える。意識が生まれる。エコアイランドというならそこまでやってもいいと思う。家庭でもISOやりやと。エコアイランドといいつつ、住民に意識がないとなれば、かっこ悪いよ。
下津: 塩田の周りの溝は10mくらいあります。水の透明度は高い。ボラがかなり上ってくる。150年前の溝と思えません。自然はすごいと実感。生物も維持している。今回島を回って初めて知りました。皆さんの協力がないと出来ない。一緒に議論しながらやって、立派な環境の島にしたいです。
西田:

京都に持っているイメージは皆さん、いいと思います。でも京都人は「ええ話やなあ、一緒にやろうや」と言ったら、「まああんた先やりーな」と言って見てるだけ。話だけで終わることが多い。
 古い町なので古い商売が多い。今の商売に合わなくて、呉服屋さんや旅館がどんどん潰れています。古い数寄屋の家は、自分の町内はもう自分の所しか残っていません。
 今、熊本県の黒川温泉、大分県の湯布院は、人が沢山集まってお金を落としていってます。しかし、最初は数人の町民がすごく頑張ってきたものなんです。
 下津さんが水がきれいと言った。堀口さんがおいしいものがあると言った。高橋さんが人を迎えましょうと言った。それは素晴らしいことです。
 今日この会場に集まった150人が、(ワークショップのメンバーに)屋根上らして梯子を取るのではなくて、梯子を使って一緒に上って、直島を素晴らしい島にしていただきたいと思う。5年、10年後に、世界に誇れる素晴らしい島になった時に、「きっかけとなった発表会に参加させてもらった」ということが私の誇りにもなるように。逆に直島の皆さんから多くのことを学ばせてもらいます。ほんとに一歩一歩です。富士山の山もまず一歩家から出ないと行けません。


  パネルディスカッションの後、ワークショップのメンバー全員がステージに上がって、礼をしました。会場からのあたたかい拍手。8月から頑張って活動してきたメンバー達は、ほっと緊張がほどけ、みんな良い顔をしていました。
 最後にエコアイランドなおしま推進委員会会長でもあるM田町長の挨拶です。



直島町あいさつ



●M田直島町長●

 こんばんは。(会場からも元気な声で「こんばんは!」)本日はお寒い中、ワークショップ成果発表会に参加いただき、ありがとうございました。
 直島は今、豊島問題を契機にハード・ソフト両面から取り組み、環境と共生できる循環型社会構築の先進地を目指し、取り組みを進めています。
 環境問題は行政だけでは決して出来るものではありません。町民、企業のご理解とご協力が不可欠です。町民の環境に対する意識の高揚、自らがやろうという気持ちを持ってもらうために、町民の方に直接参画いただき、環境に対する考え方、魅力ある町づくりなどを色々やっていただこうと、エコアイランドなおしま推進委員会の事業の一つとして町民によるワークショップを実施しました。
 1年間の成果発表がありましたが、ワークショップの皆さんには忙しい中頑張っていただき、思っていた何十倍も何百倍もの成果を発表していただきました。直島のことを真剣に考えて頂き、心から敬意と感謝を表しております。ありがとうございます。
 始まったばかりで、すぐに成果が出るというのは大変なことだと思いますが、これを契機にこの輪が広がり、一つからでも実現していきたいと思います。
 ワークショップの皆様、本日参加の皆様、町民の皆様、環境と調和した魅力ある町づくりに町も全力投球で取り組みたいと思っています。尚一層のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。



 いかがでしたか。みなさん、最後まで読んでくださって有難うございました。当日も、3時間近くに及ぶ長い成果発表会となりましたが、みなさん熱心に聴いていらっしゃいました。
 いよいよ4月からは、ここで発表したような内容を直島で実現していくことになります。文中にもありましたが、みなさんのご協力がなければ実現することができません。みなさんの積極的な活動へのご参加をお待ちしております。
 また、一緒にワークショップのメンバーになって、直島の明日について考えてみませんか?参加をお待ちしております。
 ぜひ、一緒にやりましょう!





 
ワークショップトップへ
WS通信Vol.1>>>
WS通信Vol.2>>>
WS通信Vol.3>>>
WS通信Vol.4>>>
WS通信Vol.5>>>
WS通信Vol.6>>>
WS通信Vol.7>>>